帝王切開の末、産まれてきた赤ちゃん。
血を拭き取ったりして綺麗になって
私のそばに戻ってくるはずが
中々戻ってこない…
手術台の上で身動きが取れないので
赤ちゃんが連れて行かれた方を横目で見ると
先生たちがバタバタしていた。
綺麗にするのにそんなに時間がかかるのかな?
すると、スタッフの方が
私のいる手術室と赤ちゃんがいる処置室の
仕切り戸を突然閉めた。
え…何か悪いことが起こってるの?
嫌な予感がした。
閉められたとはいえ、
透明の扉なので様子は伺える。
不確かながら、チューブの様なもので
赤ちゃんが処置されていた。
何か慌てている様子に
一気に恐怖が押し寄せてきた。
命が危ないのかもしれない。
怖くて不安で、また涙が込み上げてきた。
私はまだ手術中で動けず何も出来ない。
そばに居た看護師さんに状況を聞くと
大丈夫ですよ、としか言われない。
でも明らかに何かがあったんだろう…
私は「頑張れ」って言うことしか出来ず
ずっと泣きながら遠くから見守った。
赤ちゃんに何かあったらどうしよう…
不安と恐怖の時間が永遠の様に続いたけど
しばらく経つと、ようやく助産師さんが
手術中の私の所へ赤ちゃんを連れてきて
「元気な男の子ですよー」と
そっと横に寝かせてくれた。
やっと、やっと、安心した。
赤ちゃんに最初になんて声をかけようか
「生まれてきてくれてありがとう」かな?
まずは挨拶から「初めまして」?
やっぱり「これからよろしくね」かな?とか
入院前から何て言おうか
ずーーーっと考えてワクワクしてたのに
処置を受けてる姿を見てしまったら
あぁ、生きててくれた…って思いしかなくて
言葉よりも涙だけが溢れて
なんて言ったのか覚えていない。
ただただ、よかった…頑張ったねって
言ってた気がする。
ずっと帝王切開になったことを
夫に申し訳なく感じていたけど
それもどうでも良くなった。
赤ちゃんが無事に生まれてくれたら
それだけでいい。
私の隣で一生懸命泣きながら
小さな手で私の指を握ってくれてる姿に
この命を守れて本当に良かったと
心の底から思った。
帝王切開をする判断をしてくれた先生に
感謝の気持ちでいっぱい。
すると助産師さんがカメラを持ってきて
赤ちゃんとの写真を撮ってくれた。
ノーメイクで泣き腫らして疲れきった顔だけど
赤ちゃんとの記念すべき瞬間を
なんとか笑顔で撮ってもらえた。
その後、先生から赤ちゃんの説明があって、
ちょっと呼吸がしんどそうだったらしく
処置をしていたんだそう。
今はもう大丈夫だけど、
私が帝王切開の手術を受けたので
直ぐの母子同室は出来ずに
赤ちゃんは回復室へ行くとの事だった。
「もう大丈夫」の言葉にホッとしたけど
暫くは離れてしまうのが寂しかった。
その後、赤ちゃんはまず夫の元へ。
私は引き続き手術…
ようやく全てが終わった時には
日付が変わろうとしていた。
手術を終えて赤ちゃんと夫に
少しは会えると思っていたけど
時間が遅すぎて会えずにそのまま病室へ。
バースプランで唯一希望していた
家族3人の記念写真も動画も何も取れず…
一生に一度あるかないかの
奇跡の瞬間を記録したかったのに!
何より出産直後は家族で過ごしたかったよ…
もこすごーく残念過ぎて凹んでいたら、
夫からLINEで連絡があって
お疲れ様、ありがとうの言葉が。
そして助産師さんが撮ってくれた
夫と赤ちゃんの写真も添えられていた。
むくみも取れてキリッと綺麗な顔の赤ちゃんと
マスク越しにも安堵した表情で
ぎこちなく赤ちゃんを抱っこしている夫の姿。
対照的でなんだか微笑ましい写真。
その後に夫が「天使やねん」って
メッセージを送ってきたのが
何よりジーンときた。
3人で写真が撮れなかったのは残念過ぎるけど
この写真こそ私が夢見ていた瞬間だと思った。
赤ちゃんの誕生日が人生最高の幸せな日。
陣痛は結局前日の夜から始まってて
丸一日かかって苦しんで
無痛分娩の麻酔を耐えて打っても
緊急帝王切開で出産…っていう
フルコースの出産体験だったけど、
母子共に命が無事で本当に良かった。
まだ赤ちゃんは回復室にいるから
不安な面もあるけど、きっと大丈夫。
頑張った自分も褒めてあげたい。
激動の1日、ようやく終了!