ボードビリアン
読了
吉村平吉 【浅草のみだおれ】
三一書房 1997年8月
吉村さんの最後のエッセイのようです。2005年に84歳で他界。野坂
昭如さん「エロ事師たち」のモデルであり、吉行淳之介さんのエッセイ
にも登場。もちろん作家さんたちとはリアルな交流もお持ちでした。
高見順、田中小実昌、そんな方たちとの交流の話しもあります。
生涯独り身。好きなように生きましたっ!というニュアンスの回顧録。
演劇が好きで、お酒が好きで、女性が好きで、 浅草が大好きで。
こんな人生も良さげに映ります(笑)
浅草オペラの二村定一のお話しがあったのを思い出しました。
浅草の水族館ではじまったカジノ・フォーリーの舞台は観ていらっしゃ
らない。そんな草創期は、小説でしか知らなかったとのこと。それにし
ても吉村さんは、中学生の歳から浅草通いをはじめられて、生涯を
この浅草界わい、飲み食い、交友で過ごされたわけです。
浅草の魅力にすっかり取り憑かれた吉村さんでした。
“ボードビリアン”というのは、今や忘れられたことばかなぁ。
辞書で検索すると「ボードビルを演じる芸人。軽演劇俳優」と出ました。
vaudeville(フランス語):
歌と対話を交互に入れた通俗的な喜劇・舞踊・曲芸など。また、それら
を取りまぜて演じる寄席の芸。
あとがきは“お愛想”と題して、まるで最後の執筆を窺わせる語り。
末筆には、「お粗末さまでした」 竜泉のご自宅で独り亡くなり、
数日後マンションの管理人さんに発見された吉村さん。
ちょっとシンミリしました。
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思い出したのは、春先に木馬亭の実姉のライブで演奏くださった
ジンタラムータ(シカラムータの変隊) のリーダー大熊ワタルさん
のMC。ここ浅草との縁について語られたとき、昭和初期にあった
水族館の舞台の話しなどをチューバのギデオンさん(英国人)に
ふってらっしゃいました(笑)
この「浅草のみだおれ」で懐古されている川端康成の『浅草紅団』
あたりにつながっているんだろうなーと、ふと、思ったりしました。
・・・なんでしょうね、日本を好いてくださるガイコクの方というのは、
普通の日本人以上に、文化や歴史なぞの造詣が深い場合が多々
あります。今読んでいる、ちくま新書でもブルガリア出身の著者は
信じられないぐらい古典文学を詳しく解説してくださる。
日本文化って素晴らしいって! (^-^)/
