高校野球漫画ダイヤのA(エース)をじっくり掘り下げようとする読者が書いているブログ。

前回ブログ 272話② バッター成宮ショータイム、稲実敗戦フラグ の続き。(今回、文字サイズがおかしいかもしれません。すみません。)

 

273話「在り方」に入ります。

 

青道対稲実、決勝戦4回裏。成宮三振でワンアウト。

 

ピッチャー降谷、得意の剛速球を投げる。「ゴウ」と、うなるボール。なーるほど「ゴウ速球」は「ゴウ」と鳴るんだね。降谷の目が怖い。獲物にとどめを刺す目。最近、降谷は集中モードに入るとこうなる。

 

稲実選手のカルロス「初回からずっとフルスロットルだな」。白河「これが続くわけがない。すぐに息切れするさ・・」。国友監督はうなずくように首を「コキ」と鳴らす。三振になったばかりの成宮「はらたつー」と独り言。

 

ん?「はらたつー」と伸ばす言い方、関西弁のような気がするんだけど。東京っ子は違う言い方をするような・・・もしかして成宮は関西人?悔しさいっぱいの独り言で関西弁がポロリと出た?・・・彼は中学の時に東京で御幸と出会っているので、その前、小学生の時に大阪から引っ越してきたのかな。だとしたら、成宮が野球強いの、納得。大阪のリトルで野球の基礎を固めて、東京に移ってきたら、敵なしだったと。あちらは関東より野球が盛んだそうで、高校野球もめちゃくちゃ強い。成宮、関西弁は東京で悪ガキにからかわれて封印、悔しくて野球を頑張ってさらに強くなったとか?東京では規格外の彼の性格・態度・野球力、関西出身だとしたら分かる気がする。

 

 

話を戻します。

バッター多田野、降谷の投球を打とうとして「ボール球ははっきりしてる・・粘れば勝手に崩れる」

でもそれは、少し前までの降谷。最近バージョンアップした降谷は崩れない

 

うわ、ページをめくったら、美しくも恐ろしい目をした降谷。ゴウ速球がキャッチャーミットにさく裂。アナウンサー「空振り三振ーー!これで4者連続ーー!!稲実打線を剛腕でねじ伏せる。」すごい迫力に、観客大喜び。降谷の球速156キロは、この作中、高校最速、日本一。「ヤバいヤバいヤバい!!」「帰ってきた、センバツの降谷が」「これなんだよ」

 

降谷は2年生春の選抜での活躍で、全国に名が知られるようになった。でもその後、不振に陥った。本人は何とか自力で立ち直ろうと、リキんで投げ続け、フォームを崩して怪我をした。そこから復活できたのは、本人の強い意志だけでなく、片岡監督による根本的な精神面から改善させる指導と、チームメイトから降谷への働きかけ、落合コーチの「以前より強くなるよう回復させる」リハビリがあったから。降谷、青道高校にきて、ほんとよかったな。

 

降谷の好投に湧く拍手拍手球場。そのなか、ブルペンで準備するエース沢村の後ろ姿が、ポツンと描かれている。ライバル降谷の活躍を見ながら、ひとり取り残されたかのように。・・・春の選抜の時に同じようなことがあった・・それを沢村は思い出していた。当時エースだった降谷の好投に揺れる甲子園球場で、沢村は出番なくブルペンでただ見ているしかなかった泣・・・しっかし、決勝戦の最中に沢村はそんなことを思い出していて、大丈夫なのか。エースは今や君なんだよ。

 

沢村の異変に気付いたキャッチャー奥村が、やや心配げに話しかける「(ベンチに)戻りましょうか」

 

でもページをめくると、沢村の目はキラキラ星と輝いていた。口元は引き締まっている。降谷への対抗心を見せながらも。どうやら大丈夫そう。

 

観客の降谷への称賛は続く拍手「怪物の覚醒」「これを待ってた」「倒せるぞ成宮だって」

 

観客の興奮が渦巻くなか、沢村は奥村に答える「すげえよな。球場全体が揺れてるよ」

剛速球というのは、とても分かりやすい凄さ。一方、沢村の凄さは分かりにくい。

沢村は、これだけ多くの人に凄さを認められている降谷を見ながら、準決勝の夜の出来事を思い出し「そりゃ、キャプテンもあんなこと言うよな

 

出来事のことを知らない奥村には、何のことだかわからない。それでも沢村は、奥村にあえて話すことで、心の整理をつけようとしているようだ。

 

いったい何があったのか・・・

 

決勝の2日前、準決勝で勝利をおさめた日の夜のこと(28巻)。キャプテン御幸と降谷は、寮の裏の土手でバットを振っていた。二人を見つけた沢村、声をかけようとした。その時、御幸は、怪我のため準決勝・決勝で投げられない同学年ピッチャー川上のことを考えていた。決勝でも勝って甲子園に行かなければ、3年生の川上は、怪我で投げられないまま引退することになる。だから川上のためにも決勝で勝ちたい・・・川上は「自分が壊れてもいいから、投げさせてください」と監督に願い出たのだが、監督はそうさせなかった。川上が卒業後も野球を続けるためにも体を大事にしたほうがいいという思いやりに対して、川上は、野球は高校でおしまいにすると言った。能力的にも経済的にもこれ以上続けるのは無理だと(本当にそうなのかどうかは?です)。その後に川上に言われた衝撃びっくりの言葉が、御幸の脳裏から離れない。「俺はお前たちとは違うんだよ、御幸・・大学とか社会人とか・・ましてやプロなんて・・そうじゃない人の方がほとんどなんだ・・」

 

この時の川上の言葉が頭に浮かんだ御幸、降谷に「お前は考えてねーのか・・・上の世界。プロの世界で投げたいと思ったことはねーのか?」と尋ねた。高校球速日本一の降谷のところには、スカウトが多数来ているし、降谷の強い向上心も知っているから、降谷にそう尋ねたのだろう。でも、そんなことは考えたこともなかった降谷、あ然として「・・プロ・・」。会話を立ち聞きした沢村、ガーン目がまん丸になりガーン、不穏な驚き顔になった。嫉妬の炎が燃え上がった炎ジェラシー。

 

「その言葉、なんで俺にではなく、降谷になんだよ」

 

御幸は続ける「めちゃくちゃあるぜ、プロへの願望。野球で飯食えるようになって、これまで好きに野球やらせてくれたおやじに恩返しをしたいんだ。」降谷も、立ち聞き中の沢村も、びっくり。御幸がそんなことを考えていたとは想像もつかなかった。2年生の彼らはそんな先のことを考えたことは全くなかった。ただただ御幸に認められたくて、少しでも強くなることだけを考えてきた。天才捕手として高校1年ですでに雑誌に特集されていた御幸に、認められたくて。

 

そう、この3人はいわば、三角関係にあるわけです。(BLではない)

 

沢村も降谷も、青道高校に入学したきっかけは、御幸です。二人とも御幸とバッテリーを組みたくて、ここの野球部に入った。御幸に認められたい。エースになって、正捕手の御幸と組みたい。そう思って頑張ってきた。それは、男女間の、相思相愛になりたいハートという思いと似ているかもしれない。でも御幸は、二人に分け隔てなく接して育ててきたグラサンハート。そして、降谷と沢村は同学年のライバル同士だけれど、一緒にいることの多い、よい友達でもあるラブラブ

 

 

御幸の本音を初めて聞いた、二人。降谷は返す言葉がなかなか出てこない。その間に沢村は、情けなくもコソコソっと秘密立ち去ってしまったので、会話の続きを聞けなかった。御幸の「沢村にもこれからスカウト来るだろうな・・」という大事なところを聞き逃した。あーあ。

 

そして、沢村は、その前に御幸が降谷に言った肝心な言葉も聞いてない。これ→「(沢村は)捕手の期待を超えてくる。(準決勝では)まさにエースと呼べる投球だった・・4番として、女房役ピンクハートとして、何としても援護してやりたかった。」そして、御幸はタイムリーヒットを放ち、チームは勝利した。

 

沢村は、できることなら、御幸の質問も、本音も、自分に言ってほしかったんだ。認められた証として。

 

しかし、話をちゃんと全部聞いていれば、沢村の想いはかなっているわけですよ。御幸に十分認められている。だけど、会話の肝心の部分を聞いていないものだから・・・やきもち焼いちゃって。ばか。

 

沢村は、よくやきもち焼くよね。並外れた餅やきもち焼き餅

でも沢村のすごいところは、嫉妬や不安といったネガティブな感情をポジティブな行動につなげられること。嫉妬を抱いた相手を攻撃したり、見下したりして、相対的に自分をレベルアップさせ、自尊心を保つのが、普通の人間にはありがちなんだろうけど。しかし沢村は、負のエネルギーも、自分を向上させる方、チームを鼓舞する方に使ってしまうグッ

 

・・・いつもはそうなんだけど、今回、沢村はすねて、御幸に八つ当たりし、その後、自己嫌悪に陥った。そのうえ、生まれて初めて将来の進路のことを考え、頭の中がグルグルしてどうしようもない混乱状態にチーン。それでも何とか気持ちを静めて、この決勝に臨んでいる。でもまだ整理できていない気持ちが残っていたようで、春の選抜で置いてきぼり気分に沈んだ泣くうさぎことを思い出してしまった。それに整理をつけようと、沢村は、1年生捕手の奥村に話し続ける。

 

選抜の時はこんなもんじゃなかった

 

選抜の時、当時エースだった降谷との間に感じた実力差、悔しさは、こんなものではなかったと。

 

いいぞ沢村、トラウマを奥村に話して、膿ドクロを出してしまえびっくりマーク

 

奥村は黙ってただ聞いている。えらい。彼は沢村が御幸に八つ当たりしたところに居合わせていたので、沢村の話したい気持ちが理解できたのだろうし、自分の役割も理解したのだろう。

 

沢村は奥村を信頼しているんだね。3年の御幸がこの夏を最後に引退しても、奥村がいる。

 

奥村に話を聞いてもらった沢村「戻ろう・・」

気持ちに整理がついたか。

 

奥村は昨日、御幸が沢村に声をかけていたことを思い出す。「明日の決勝がどんな展開になるかは分かんねえが、エースであるお前の力が必要な時はきっと来る。その時まで焦らず力をためておいてくれ

この言葉が、ブルペンで待機する沢村を支えているのだろう --- 奥村はそう思っているかのような表情で、沢村の後ろ姿を見つめる。

 

さすがキャプテン御幸だ。珍しく荒ぶるプンプン沢村を放置したまま決勝に向かわせなかった。

 

こ、この子たち、これで高校生だよびっくりマーク精神年齢高いキラキラ

 

 

この騒動の意義は何だったのだろう・・・読者には、立ち聞きは最後までしっかり聞きましょう、という教訓を与えてくれた(冗談)。えーと。御幸に依存してきた沢村と降谷の乳離れを促すかもしれない。入学以来自分達を育ててきてくれた御幸。でも御幸には御幸の人生がある。それは多分、子どもが、母親には母親の人生があることを知ったような感じ。そして、沢村と降谷には、いやおうなしに自分の将来を考えるきっかけになるのだろう。御幸とバッテリーを組めるのもあと1カ月。夏が終われば、3年生は引退し、秋の大会では2年生が最高学年としてチームを引っ張っていく。

 

 

それにしても、野球で捕手のことを投手の「女房役」とか「恋女房」と呼ぶの・・・男同士で、なぜーって、正直、気持ち悪いと思ってたんだけど、このマンガを読み始めてからまあ納得した。当の野球選手が、男女の関係と似たような繋がりを感じて、そう呼び出したんでしょうね。

 


 

沢村には、一青窈の歌う「ジェラシー」を贈る。井上陽水をカバー。ねっとりした彼女の歌が、軽快なボサノバのリズムに乗って、曲に合ってる。

 

 

 

次回ブログ 273話② 野球楽しい降谷、埋もれそうだった才能 に続きます。