3日①中島京子「イトウの恋」  Merci Madame S.


好きな作家さん。

今回も、軽快で可笑し味アリの1冊。


この作家さん、登場人物が普通と少しずれててユニーク。

この個性のあり方が、好きなんです。


  主人公は、新米教師。

  実家の屋根裏から、

  明治維新直後の頃に英国女性と恋に落ちた、当時、珍しい通訳(イトウ)の手記を発見。

  読んでみると、興味深いもの、けれど、後半部分が欠落…。


  その捜索の物語なんです。


  はじめは、生徒と二人の探索。

  でも、判明したイトウの孫の娘が出現して、一気に面白くなる。

  この女性がヒロインになって物語は展開してゆきます。


明治という時代と、現代とが交互に現れてストーリーが展開されるんだけれど、

これが、巧みで読みやすい。

女性の意識の変化も、さらりと書かれてあってフムフム。


最後は、ちゃんと見つかって、イトウの恋の顛末も納得。

面白いお話しでした。


ただね、明治の「イトウの恋」は終了したけれど、

現在進行形の、主人公とヒロイン・イトウの孫の娘の恋は、ちと、尻切れトンボ。


あれ?

これはウン年後に誰かが小説にしてくれるのかしらん?




おしまい。






※ 週末、いつも通る元映画館のビルの飾り物。

  ちょっと、不気味っぽいけれど変わっているからご紹介。

  でも、この顔付も不思議だけれど、色遣いも…。

  黄色とピンク…。どう、思う?

   3日②劇場・映画館