31日①吉田修一「さよなら渓谷」  book off Paris.


またも、吉田修一。

好きだから(パリで6冊購入)…。


この本も、なかなか、読ませてくれました。

「悪人・上下」と、テイストは似ていて犯罪、犯罪心理。

それが、いかに普通の日常生活に忍び込むかが、今回も怖いです。


はからずも、って言葉。

あまり使われないけれど、それが切ない結果の核になっています。


そして、もうひとつ。

人って、仕合わせになりたいのに、それに背を向けて生きてしまうことってあると。



   物語の発端は、お酒と、その場のノリ、バカバカしいほどの若さ。

   それらが、人生を悪い方向へと向かわせてしまう。

   健気に再生しようとしても、歯車が悪い方向へ廻って行く…。


   そして、もう一つの焦点は弱者と強者、女と男。

   相いれない、絶対的な壁?


それが、主人公だけではなく、

多少の縁で接点ができた登場人物の人生へも影響してゆくんです。


人間って辛い。

けれど、ラストに淡い希望がポツンと置かれています。

この作家さんの「愛」かな?




おしまい。






※ 硝子(ガラス・クリスタル)が好き。

  TVニュースで、今、パリで往年のクリスタル展が開催と。

  タメ息がでる綺麗さ。

  日本の皇室のものも展示されているそう。

  菊の御紋のゴブレットが画面に。

  31日②TVクリスタル展