またも、吉田修一。
好きだから(パリで6冊購入)…。
この本も、なかなか、読ませてくれました。
「悪人・上下」と、テイストは似ていて犯罪、犯罪心理。
それが、いかに普通の日常生活に忍び込むかが、今回も怖いです。
はからずも、って言葉。
あまり使われないけれど、それが切ない結果の核になっています。
そして、もうひとつ。
人って、仕合わせになりたいのに、それに背を向けて生きてしまうことってあると。
物語の発端は、お酒と、その場のノリ、バカバカしいほどの若さ。
それらが、人生を悪い方向へと向かわせてしまう。
健気に再生しようとしても、歯車が悪い方向へ廻って行く…。
そして、もう一つの焦点は弱者と強者、女と男。
相いれない、絶対的な壁?
それが、主人公だけではなく、
多少の縁で接点ができた登場人物の人生へも影響してゆくんです。
人間って辛い。
けれど、ラストに淡い希望がポツンと置かれています。
この作家さんの「愛」かな?
おしまい。
※ 硝子(ガラス・クリスタル)が好き。
TVニュースで、今、パリで往年のクリスタル展が開催と。
タメ息がでる綺麗さ。
日本の皇室のものも展示されているそう。
菊の御紋のゴブレットが画面に。