本、ときどき海-23日吉村昭「魚影の群れ」


吉村昭の短編集「魚影の群れ」表題作。

3日目の同本エントリー、今日が最後。

今回、あらすじをザーッと書きます。

(いやな方はパスお願い)


この作品が発表されたのは1973年(S48)。

40年前、そんな大昔ではないのに時代的な距離感があります。

この本を読んで、ますます、実感、昭和は遠い。


  舞台は津軽海峡に面した漁村。

  偏屈なためか妻に去られたマグロ漁の漁師である主人公は、

  置き去りにされた娘と2人暮らし。

  年頃になった娘は、漁師の後を継ぐという恋人を連れてくる。

  無視を続けたいが、一人になるのも嫌なので自分の船に青年を載せる。

  で、事故が発生。

  マグロの当たりがあった際に、その糸が青年を襲った。

  すぐに戻って病院へが常識、でも、漁師魂は…。


  当たった獲物を引き上げたい主人公はマグロとの戦いを止めない。


  1時間も遅れて病院へ収容されるも、何とか助かり退院する青年。

  だか、漁師の元へは戻らず、

  三重県尾鷲でのマグロ漁修行へ、もちろん、娘とともに。


  そして、数年後、一人前となった青年と娘が戻ってくる。

  主人公へ挑戦を挑むように……。


  で、ですね。

  その青年、主人公と同じように当てたマグロを諦めないで遭難。

  白骨遺体となって、後日発見される。

  それも、大物のマグロの骨を引きずって。


  ラスト。


書いちまいました。

あらすじなんて無視の「本話」がしたいと思ってたけれど、

今回は掟破り。

まっ、たまにはね(だって、圧倒的に凄かったもの)。


どうですか?


上記のようなお話を、淡々と哀愁を込めて、

仕事に生きる男の世界として書かれてる短編。

ほんと、日本の小説。

最高です。

(女はどうする? いや、女は強いっ)




おしまい。





※ この短編、1983年(S58)、相米慎二監督によって映画化。

  キャスト、緒形挙、夏目雅子、佐藤浩二。

  どんな映画になってたのかなあ。

  You Tube で予告編を観たら、恋人がなんと喫茶店オーナーの青年だって。

  すっごい違和感。

  でも、相米慎二監督ですもんね。

  魅せてくれる映画となってるのことでしょう。