本、ときどき海-8日篠田節子「死神」


今日の本は、まさに正統派作家の本です。

ちょっと、暗くって重たい傾向があるけれど、短編連作で読みやすい。

(現在、興味の短歌が出てくる作品アリ。なので、作為的チョイス)


公的な福祉事務所のケースワーカーたちのお話し連作。

8篇あって、興味深いものが並びます。


遊郭時代の生き残りとなってしまった老女。

初の福祉事務所所長に就任した女性ケースワーカーの奮闘。

アルコール依存症に陥った五十路ケースワーカーの心情(これに歌が)。

不幸になるのを承知でヤクザな男と別れられない女とかね。

まあ、いろいろ。


暗い話が多いけれど、どこか乾いてる。

なので、読者側は悪い意味で引き込まれることがない(これ美点)。

さらに、ラスト作品、「ファンタジア」。

そのタイトル通り、暗い話を優しい仕立てで展開。

ホッとします(微笑みさえ浮かぶかな)。


とても読後感のよい本。


ちゃんと記憶にあった歌を見つけました。

紹介しておきます。


━ 鳥一羽 テトラポッドに墜死する

  潮満ちきたれ 潮にしたがえ     

                          勝部裕子著「内乱」より ━




おしまい。








※ フランスの国内ニュース。

  マルセイユが、結構、暴力チックな街となってるみたい。

  今年に入って15件の殺人事件発生。

  車の運転が荒いとか、喧嘩が多いとか聞いてはいたけれど、

  こんなに殺人事件が起こってる。

  物騒……。