◎冠の掛緒(かけを)
平安頃まではそれ程堅くなかった冠も鎌倉以降は堅くなり落下防止のため「掛緒」が用いられるようになった。特に蹴鞠をする時などには組紐が用いられた。
『装束雑事抄』「臣下内外衣服事、一、冠事条」には、
かうふりかけの事、つねハ紙ひねり也、
鞠あし、二条たう、同弟子ハくミわけ也、
こきむらさきのくミ也、
四十歳許よりハうすきむらさきなるへし、
……又琵琶ひき・箏ひきハそのをもてもする也、
とあります。
したがって、束帯は「紙捻」が原則。
衣冠は、蹴鞠の家の執奏を通じて、勅許を得れば「組掛緒」の着用は許されていましたが、明治以降は全て「紙捻」となりました。