◎直会(なおらい)
お祭の中心となる儀式が終了したのちに、神饌(しんせん)とよばれる神にお供えしたお酒や食事のおさがりや、神饌と同じ様にととのえられたお食事を皆で頂くことをいいます。「ナホラヒ」の語源については、「ナホリアヒ」の略とも、「ナホル」に反復や継続をあらわす「フ」が付いた形ともいわれます。「ナホル」の意味については、お膳に向かってすわることとも、元の状態にもどること、すなわち普段とはことなるお祭りの状況から普段の状態にもどることともいわれています。直会の後に行われる酒宴(しゅえん)とは本来別の行事なのですが、現在は混同されることも多く、お祭での宴席を広く直会とよんでいます。祈祷(きとう)ののち御神酒(おみき)を頂くのも、直会の簡略な形といえます。神と人とが酒食をともにすることにより、神様のおかげやお力をいただくことに意義があるのです。
《注意》神職の履歴書を書く際に(入力する際に)、『神社本庁神職資格「直階」取得』とすべきところを『「直会」取得』と間違う方がたまにいます。「直会」の資格は神社本庁では与えておりません。各自が品性を保ちつつ「直会」できるよう心がけて下さい。
【参考文献】
西宮一民「『なほらひ』考」(『瑞垣』114号、昭和五十三年)
茂木貞純「直会」(國學院大學日本文化研究所編『神道事典』弘文堂、平成六年)
沼部春友「直会」(薗田稔・橋本政宣編『神道史大辞典』吉川弘文館、平成十六年)
神社本庁教学研究室監修『神道いろは―神社とまつりの基礎知識―』(神社新報社、平成十六年)
坪井洋文「なほらひ(直会)」(國學院大學日本文化研究所編『神道要語集』祭祀篇一所収、昭和四十九年)
肥後和男「祭儀にあらはれた神」(『現代神道研究集成』第四巻祭祀研究編Ⅰ神社新報社、平成十一年)
沼部春友「直会と解斎」(同上)