◎参道(さんどう)
神社へお参りする人のためにつくられた道のことをいいます。神社へたどり着くまでの道も、神社で鳥居をくぐってから社殿へ向かう道もともに参道といいます。ともに、神様を尊ぶ気持ちや、参拝者への配慮から色々な整備がなされています。東京の原宿にある表参道(おもてさんどう)は明治神宮の創建時に整備されたものです。古くは、鎌倉幕府将軍源頼朝(みなもとよりとも)が、妻政子の安産を願い参道をきずいた例が知られています。山にある神社では、石段が整備されます。日光東照宮や金刀比羅宮(ことひらぐう)などの長い石段が有名です。また、参道脇も木を植えたり、灯篭(とうろう)が設置されたりします。山形県の出羽神社(でわじんじゃ)の杉並木、奈良県の春日大社(かすがたいしゃ)の灯篭(とうろう)などが有名です。参道を進むことは神様に一歩一歩近づくことであります。室町時代から江戸時代にかけて、描かれた参詣曼荼羅(さんけいまんだら)とよばれる絵図をみると、神様のお近くにだんだんと近づいていく人々の様子を、具体的にうかがうことができるでしょう。
【参考文献】
中西正幸「神社の施設・設備・その他」(『鎮守の森を保育の庭に・上巻』学習研究社、平成十三年)
正井泰夫「原宿」・大河直躬「階段」・伊藤清郎「鶴岡八幡宮」・新野直吉「出羽神社」(『世界大百科事典』平凡社、昭和六十三年)
大阪市立博物館編『社寺参詣曼荼羅』(平凡社、昭和六十二年)