皇御孫命 | laphroaig-10さんのブログ

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◎皇御孫命(すめみまのみこと)


 皇祖天照大御神の御孫神「ニニギノ命」を指しますが、天照大御神の御子孫としての歴代天皇をも指します。大祓詞でも文脈によって「ニニギノ命」「初代神武天皇」「歴代の天皇」など多義的に用いられています。皇祖とのつながりを意識した祝詞特有の言葉と言えましょう。「みま」を「御身体」とする説もありますが、漢字の表記「御孫」通りに解釈する方がいいと考えます。


 なお「天皇霊の静まります御身体」との解釈もありますが、「天皇霊」の概念については慎重に考えねばならないと思います。大嘗祭の意義を「天皇霊」の継承としたのは、折口信夫氏「大嘗祭の本義」(昭和五年、『全集』第三巻所収)です。すなわち、大嘗祭の悠紀・主基両殿の室の中央に鋪設される神座(寝座)の寝具が天孫降臨神話の「真床覆衾」に相当し、この寝具に新天皇がお籠もりになり、それにより「天皇霊」を体内に入れたと推定したものです。


 この考え方を支持する研究者も多くいますが、史料的根拠に乏しく、いまだ定説とはなっておりません。『日本書紀』に「天皇之霊」の語が見えますが、これは「天地の諸神とともに皇祖の諸霊を王権の守護霊とする信仰」を表すとする考え方も出されています(熊谷公男氏「古代王権とタマ(霊)―「天皇霊」を中心にして―」『日本史研究』三〇八号、昭和六十三年)。また國學院大學の岡田荘司教授は、大嘗祭の祭儀の本旨は天皇親祭による皇祖天照大神への神饌供進と共食にあるされています(「『真床覆衾論』と寝座の意味」)。