◎天つ日嗣
「天つ日嗣は」「高天原に由来する天皇の御位、また高位の継承者」を意味しますが、その語源については諸説あります。手元の辞書で確認しますと、
『岩波古語辞典』
ひつぎ【日嗣】天皇の位。また皇位の継承者。
▽「火継」の意で神火を継承する者とする説があるが、「火」は上代語Fïの音、「日」はFiの音で別。従って「火継」とする説は誤り。ヒ(日)の音は、ムスヒ(産霊)・ヒモロキ(神籬)のヒに通用するので、霊(ヒ)または日(太陽)を嗣ぐ者の意と解される。
『日本国語大辞典』
ひつぎ【日嗣・日継】《名》(日の神の詔命で大業をつぎつぎにしろしめす意という)
皇位を継承すること。また、その継承した位。天皇の位。皇位。天つ日嗣。
『時代別国語大辞典上代編』
ひつぎ【日嗣】(名)天皇の位。日の御子としてその位置を次々についでゆく意。
【考】万葉にある五例は、すべてアマノヒツギの形をとり、古事記ではアマツヒツギとある。
などです。いずれにせよ「火継」ではなく「日(霊)継」であることは確かです。日の神、天照大御神の(霊的)業を嗣ぐと考えられます。