今年四月三十日、創立百三十周年再興五十周年記念祭・慰霊祭が執り行はれむとす。十年前の祝詞を再確認。斎主に命じられ作りし文なり。簡潔を旨とせり。
皇學館創立百二十周年物故館友慰霊祭
神風の伊勢国倉田の山の美し所に聳え建つ皇學館大学倉陵会館を厳の斎庭と祓清めて神籬刺立て招奉り坐奉る篠田康雄大人命、岡本健治大人命を始め此の学舎に御由縁深き二五九〇柱の御霊等の御前に斎主多度大社宮司賀勢弘慎み敬ひて白さく、
此の学校法人皇學館に在ては明治十五年皇国の道の学を説き究めむと神宮皇學館の開初められしより以来、神の正道受継がひ、皇学の則を振ひ興しつつ、昭和十五年には神宮皇學館大学ともなりて数多の学徒出立ちけるを、彼の轟荒れし戦火の後、昭和二十一年廃学憂目に遭ひしは返す返すも惜しき極みになも在りける、然は在れ、館友諸諸の熱き念ひの実を結び、昭和三十七年皇學館大学とて再建せられ軈て高等学校、中学校、社会福祉学部をも併せ設けて、年毎に栄え行く状を嬉しみ忝なみ奉りて汝命等の垂給ふ広き厚き御恵を尊び仰ぎ奉りて、今日を生日の足日と選定めて皇學館百二十周年の祝賀の式執行ふに当たり慰霊祭仕奉らくと、
御前に御饌御酒種々の味物を供奉り学校法人皇學館理事長上杉千郷、大学学長大庭脩、高等学校中学校長荘司壽一郎、又館友会長木山照道を始め館友、教職員、学生生徒等諸々集侍りて太玉串の執々に拝奉る状を御心も平穏に諾ひ聞食して、
今も将来も此の学舎に集ふ若者等の心々に在りし日の御想ひ審らに伝へ給ひ、皇学の道は更なり、世界の大勢にも遅るる事無く広く遍き学業の弥栄えに栄えしめ給ひ、又館友諸々各がじし進行く道に障無く、曽て霊等が春は繚乱の花の下、秋は清けき月影を浴びて集ひける此の倉田山を想出でつつ語らひ過して、皇學館百二十年の伝統を更に後世に承継がひ伝へ行く可く霊等の大き御力を差添はし導給へと慎み敬ひて白す