昨日、気象庁から初めて『巨大地震注意』が発表されました。
初めての事例なので私を含め多くの方が不安になった事と思います。
気象庁から発表される南海トラフ地震臨時情報はもっとも軽い『調査終了』から今回の『巨大地震注意』、最も重い『巨大地震警戒』となっています。
気象庁の解説では『巨大地震注意』の発表要件として
・監視領域内において、モーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したと 評価した場合(巨大地震警戒に該当する場合は除く)
・想定震源域内のプレート境界において、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価し た場合
となっています。
今回は想定震源域の境界付近でプレートの『一部割れ』が発生したことによるものとの事です。
『一部割れ』は、大規模地震に比べて一回り小さい地震(M7クラス)が想定されていますが、この件では7日以内にM8クラスの地震が発生する頻度は数百回に1回程度(6事例/1,437 事例)と通常より数倍高くなっています。
今回スロースリップ(ゆっくりすべり)に関して発表は有りませんでした。
2021年に東北大学の高木涼太助教がNHKの特番内で南海トラフにおける隠れたスロースリップに関する研究を発表していました。
プレート同士が強くくっつきあった『固着域』の周辺で陸側のプレートがゆっくり動く現象がスロースリップです。
人が感じない地震なので見逃されがちだが2011年3月の東日本大震災(M9.0)では2か月前からスロースリップが発生。
2014年メキシコパパノア地震(M7.3)では2か月前から発生。
2014年チリイキケ地震(M8.2)でもスロースリップが発生していました。
高木助教の研究では南海トラフでもスロースリップの発生が何度か繰り返されていることが見つかりました。
何とスロースリップの発生域が今回巨大地震が発生した日向灘との事でした。
その動きを下図に示しました。
①の地域で2002年1月にスロースリップ発生
②の地域で2002年3月にスロースリップ発生
③の地域で2003年3月にスロースリップ発生
④の地域で2004年7月にスロースリップ発生
このような動きが2006年10月~11月、2013年7月~10月にも発生していたとの事で④の地域まで応力が移動したことで『固着域』に歪みが溜まり続けているとの内容でした。
今回その①の地域でM7.1の地震が発生したことにより巨大な応力の連鎖が起きることが心配されています。
気象庁では今後1週間、毎日夕に、地震活動の状況を説明する「関連解説情報」を発表する方針を発表しました。
夕方というのが実際何時なのかわかりませんが、日々関心を持っていこうと思います。
現在の地震計データです。
口永良部島や桜島では今回の地震の影響がまだ強く出ています。
【口永良部島】
北海道の有珠山では4日前からノイズが増加気味となっています。
【有珠山】