トントントントントン・・・・
台所の風景だ。
エプロンをして静かに料理を作っている女性が立っている。
「おばちゃーん。腹減ったー。何か作ってさー。」
背の低い痩せた中学生。僕だ。
おばちゃんは料理をしながら、背中越しの会話が始まる。
「はーい。」
トントントントン・・・・
「も~腹減ったていいよるやん。はよぅー!」
「はーい。」
おばちゃんはまな板に向かったままだ。
「今日の晩御飯はなん?」
「トマトとセロリの煮込みよ。」
「え~~。あれやー。おいさー、あれ好かんさねー。なんか別の作ってさー。」
「ごめんねー。お母さんから言われとるけん。」
ちょっと袖口が汚れたエプロンをして、その背中越しに会話してくるおばちゃん。
おばちゃんのことを全く考えていない命令でも、その声色は厭そうな雰囲気ではなく、
いつも優しい、落ち着いた声だった。
いつもこんな感じで、おばちゃんとは全然大した話はしていない。
つづく