六章 【トナカイが繋ぐ絆】 7 (47) | 中華の足跡・改

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花火大会にふさわしい、綺麗に晴れ上がった空。

やや風が強い日ではあるが、まだ暑さの厳しい時期だけに、それは涼しく吹き渡っていた。

集合場所は、北柏駅。

手賀沼花火大会の三会場のうち、柏会場が目的地である。

徹司が到着したのは、集合時間の5分ほど前。

改札を出ると、既に数人の姿が見える。

上山、西崎、紗千子が、おしゃべりに興じている。

近づいていく徹司にまず気付いたのが西崎。

そのまま西崎は、徹司の背後に視線をやる。

それにつられて徹司も振り向くと、朋子と麻弥が改札から出てきたところだった。

どうやら同じ電車だったらしい。

さらに数分待つ間に、涼子、後藤、古兼が到着し、最後に来たのは普段から遅刻の多い横石だった。

「全員そろったみたいだし、行こうか」

出発の合図を出したのは、北柏が地元の上山だった。

みんなでぞろぞろと歩き出す。

学校の外で、これだけの人数で集まるのは初めてのことだったせいか、みんなどことなくテンションが高めである。

その中でも一番のハイテンションの人物を挙げるとすると、後藤だろうか。

後藤の興奮度は、きっとアレだろうな、と、徹司は前方を歩く朋子を見やった。

朋子は、花火大会らしく、浴衣姿だった。

同学年の女の子の浴衣姿などまず目にする機会もないので、徹司の目には実に新鮮に映る。

後藤が興奮するのも無理はない。

一方で徹司は、自分でも意外なほど、冷静な目で朋子の姿を観察できていた。

先日の古兼と朋子との会話が、思った以上に自分自身の気持ちに影響をもたらしたようだ。

迷いのような気持ちが晴れている。

そして、その分――

徹司は、紗千子と並んで話しながら歩いている、涼子の後姿を視界にとらえた。

涼子は、私服である。

普段から私服登校の大金高校だから、私服姿は目新しいものではなかったが。

涼子の着ている服は、徹司の記憶の中には無いものだった。

私服の中でも、通学用と、それ以外のプライベート用とで分けているのか。

それとも、普段あまり服装に興味のない徹司が見落としていただけなのか。

或いは――この日の為に新調したものなのか。

そんなことを考えた途端、徹司はなんだか急に恥ずかしくなった。

いかん、調子に乗るなよ――と、自分に言い聞かせる。