実家のすぐ近くで、毎年地域の盆踊り大会が開催されている。
開催地の公園まで徒歩一分という距離だから、その音楽は普通に我が家にまでやってくる。
もちろん俺がそれを嫌がるはずもない。
この盆踊り大会、今年で30回目というからけっこうなものだ。
俺が生まれてすぐに、我が家はこの地に引っ越してきたわけだが・・・それより前から開催されてたのか。
ふうむ・・・バカにしたもんじゃないな。
子供の頃は、けっこうその盆踊りに出かけていた。
とはいえ、別に踊りに興味があったわけではない。
むしろ、その周囲に登場する出店類が好きだったのかもしれない。
たこやき、やきそば、わたあめ、あんずあめ、カキ氷などなど・・・。
もっとも、小遣いの少なかった俺にはそうそうたくさんのものを買うことができたわけじゃない。
するとつまるところ、お祭りの雰囲気が好きだったんだろうか、俺は。
ともかく今夜は懐かしの盆踊り。
和太鼓の音に誘われて、ふらふらと散歩してきた。
所詮は地域の催し物だから小規模だが、それなりにちゃんとしたやぐらが組まれ、最上段ではどんどこと太鼓を叩くおっさんが。
その周囲を、浴衣を来たおばさん軍団がくるくると踊っているわけだ。
昔はあんまりこの辺は注意してなかったんだけど・・・。
青森のねぶたとか、花笠音頭とか、いろいろ体験してきたあとだけに、やはり踊りの方に眼が行く。
一番過去を思い出させるのは、やはり音楽だった。
「沼南音頭」をはじめ、ほとんどがローカル曲だから、他の地域の人は聞いたことすらないだろうが、ある意味ここでしか、この時期でしか聞けない曲だから、かえって印象が強いのかもしれない。
高校生くらいになって祭りに行かなくなっても、それでも毎年聞こえてきていたのだし・・・。
そんな懐かしのメロディーを、今宵はゆったりと鑑賞してきた。
のんびりとしたいい気分ではあったけど。
・・・もし、この場に――などとありえないことを考えてしまうのは、まだ感傷から抜けきれてないからだろうか――。