TVゲームをしていた筈だった
敵の白い玉をどうしても倒せなくて
画面の前でじれていたら
いつの間にかトンネルを車で走っていた
ライトはつかない
暗いトンネルを懐中電灯で照らしながら疾走していた
どんどん加速していたのに
車はちっとも動いていなかった
懐中電灯が行き止まりの壁を照らした
両脇の壁にはバーカウンターのようなものがある
キャビネットの硝子の奥に店鋪が見える
人の姿がない
まだ開店前だろうか
よく見ると左のキャビネットの中に人が折り重なっている
人形のように動かない人々
彼らを動かせば店は開くのだろうか
カウンターの上に絵本を見つけた
陰惨な人形達の謎が描かれていた
頁をめくっていくうちに絵が動き出す
絵は銀幕ほども拡がって
いつしか自分は冬のロシアに立っていた