馬部隆弘『椿井文書』 | (元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 馬部隆弘『椿井文書』を読了。

 

 偽書「椿井文書」を正面から捉え、その成立から伝播、現在にも及ぼす影響まで網羅的に描く。
 たかだが偽書と切って捨てるのではなく、丁寧に解き明かしていくところ、大変興味深く思った。
 特に「なぜ受容されたのか」という部分の考察が鮮やかで、これは現在にも当然に通じる人間の暗部みたいなところを的確に炙り出している。歴史学の書というだけではなく、社会心理学的な知見を提供する書としても読める好著。