Devolution and Social Citizenship in the UK | (元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 Scott L. Greer(ed.)『Devolution and Social Citizenship in the UK』を読了。


 英国における域内分権に関する論文が収録されている。

 それらの論文に通底するのが、いわゆる市民権に関する議論。

 英国の場合、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの各地域への分権の度合いが異なるため、市民権にも差が生じている。この点に関する考察が様々な角度からなされる。


 居住地移動の自由が認められている以上、その地域において受けられる社会保障などに差があれば、それが充実した地域へ移れば良いだけだとの議論も当然あるだろうが、英国などの場合でも明らかなように、居住地にはそこに蓄積した歴史があり、簡単に移ることが出来ないことも事実である。そして、この歴史ゆえに、分権の度合いに差が生じ、それが社会保障サービスなどの差に結び付いているのである。


 そこにEUの形成という要因が加わるから、さらに事は複雑化する。


 それらの複雑化した英国の様相を立体的に捉えると言う意味で、優れた研究書であると思われる。


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