普天間基地移転に関する「世論調査」の謎 | (元)無気力東大院生の不労生活

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勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
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でした。

 世論調査なるものを見ると、普天間基地移転の件で、鳩山政権がどんどん追い込まれているようですが、そもそも、「普天間基地移転の問題を解決すべきですか?」と尋ねられれば、大半の人は「はい」と答えるはず。何故なら、「問題がありますが、それを解決すべきですか?」と尋ねられれば、大抵の人は条件反射のように「はい」と答えるだろうから。


 世論調査なるものにおいて、その「問題」が解決可能なものなのかどうかは、当然のように検討されない。質問を作る側がそれを「問題だ」と認識した時点で、全ては終わってしまう。


 少し手の込んだ世論調査なるものであれば、「解決策として、どれが好ましいですか?」ということで、国外・沖縄県外・キャンプシュワブ沖などを並べて回答者に選ばせたりするが、そもそも、そのうちどれが現実的に選択可能かどうかなんてことは考慮されていない。


 県外という回答もそれなりの率あるでしょうが、では、「あたなの住んでいる地域に米軍基地が移転してくることを受け入れますか?」と聞けば、当然のように「いいえ」が大半を占めるでしょう。それは、現在の徳之島の状況を見れば明らかです。結局のところ、大半の人は、この「問題」をもし解決するのであれば、自らがその解決のために必要な負担を受け入れる必要があることなんて考えていないのです。


 そもそも、沖縄の人だって、好き好んで米軍基地を受け入れているわけではないから、早く外に出て行ってくれと思うのが人情でしょう。それは、何度も繰り返される基地を争点とした首長選挙などの結果を見れば明らかです。

 ちなみに、私の住む神奈川県も米軍基地や関連施設が全国の中で多い方に入る県なのですが、米軍基地の問題は、例えば戦闘機の騒音とか、その墜落等の危険だけではありません。米軍基地関係者が乗る傍若無人なYナンバーの自動車の危険など、もっと身近な危険も沢山あるのです。Yナンバーの自動車に衝突されたら、日本国民は泣き寝入りですからね。


 では、国外でしょうか?


 その当否は不明ですが、国外移転となれば、当然、防衛力云々の話が出て来るわけです。米軍がいなくなったら、日本は守れなくなる、と。

 (個人的には、アメリカの利益になると思えば、どこに軍隊が駐留していようが、アメリカは日本を守ろうとすると思いますし、アメリカに利益がないと判断すれば、たとえ日本に基地があっても、いざとなったら日本なんて守らずに逃げると思っていますが。彼らは、そういう合理的な判断を下しますよ)。


 こうやって見ると、「解決すべき問題」であったとしても、簡単な解決策なんてないことが容易に想像出来ます。

 解決策がない問題を解決せよと政権に迫ったところで、それは無茶なのです。解決策だと思っても、その策で迷惑や負担を被る人が確実に出て来るのですし。そうなれば、選挙で選ばれるという不安定な立場の人たちが解決策を見出せるわけがない。

 そもそもが、そんな無茶な問題と政権の命運を結び付けるのは少々見当違いなのです。外交・防衛問題と政権の命運が結び付いているなんて、戦中の話ですよ、、、


 しかし、どういう訳か、首相自身がこの「問題」と政権の命運を結び付けるような発言を繰り返してしまいましたからね、、、 これは収拾不能です。


 でも、アメリカに平然とモノを言える首相なんて、考えてみれば、今までそういなかったので、私たちは凄い事態に遭遇しているのかもしれません。キャッチボールしたと言っては嬉々として、あげくには奇妙な踊りで某スターを讃えたポチよりは、随分と「まとも」かもしれません。

 どこぞの新聞が書いたという「最大の敗北者」の称号は、むしろ誇るべきでしょう。各国のトップが大統領に阿る中で、わが国のトップは、解決困難な問題の解決へ向けて協力を耳打ちしたというのですから、それはそれは凄いことです。

 真の敗北者は、忠実な飼い犬だと思っていた犬に、まさか噛まれてしまったどこかの大統領ですよ。


 いずれにしても、過大な負担を強いている沖縄の皆さんに対して、大変申し訳ない思いで私は一杯です。

 時折、軍用機がわが家の上空を飛んでいくだけで不快な思いをしますから、それが恒常的な普天間基地の周辺の皆さんの心労は私の想像を超えています。


 いっそ、尖閣諸島や竹島に米軍基地を自衛隊とセットで移転したらどうでしょう?

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 こういう頓珍漢な記事を書くと、学部時代に受けた国際政治の講義を担当していた藤原先生の顔が浮かんでくる(笑)

 さらには、こういう「問題」が話題になると、個人的には大江健三郎の初期の作品群が頭をよぎります。

 村上春樹も良いけど、やっぱり、大江作品も読みましょうというのが、この記事の本当の結論です。

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