『電波利権』 | (元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 土曜日は書評の原稿を書くのに追われていました。

 取り上げた本の1冊に池田信夫『電波利権』がある。電波に焦点を当てて、なかなか面白い議論を展開している。目を引くのは、帯のコピーだ。

 曰く、「日本最大の既得権益集団」はテレビ局である。

 こんなコピーが付いていたら、買って読まずにはいられません(笑) 内容はしっかりしたものですが、なにより一番興味深いのは、NHK出身の研究者が本書を書いているということ。NHKの安易な民営化に私は反対ですが、「どこかおかしいぞNHK」という気持ちを常日頃から抱いているので、NHKの問題点を整然と書いた本書のような本を読むと溜飲が下がります。

 勿論、民放とて問題がないわけではない。違法行為を行っていたのであれば絶対に許されないが、ホリエ容疑者らは誰も守ってくれない荒野で戦ってきたのである。結果的に国家によって守られている放送局とは訳が違う。株価(時価総額)に一喜一憂し株価上昇に躍起になったライブドアに対して放送局は批判的だが、株価が下がっても電波という利権さえ守っておけば問題のない放送局がそもそもライブドアの心性を理解できる訳がないのである。

 「上場している放送局は、時価総額が1兆円以下になったらその局はライブドアのような会社に買収されてしまう可能性が出てくるので、1兆円以下になる期間が半年以上続く場合には電波を剥奪する」なんて決まりでも作ってみたら、民放も上場企業の厳しさを思い知れるのではないでしょうか(そんな無茶な決まりを総務省が作るとしたら大問題ですが)。

 そんな無茶な決まりが作られないように、放送局はもっと頑張ってもらいたい。何と言っても、公共の電波を優先的に割り当てられているのだから。


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