Chapter 3 Ground, Maritime, …Air? On the springboard.
自衛隊地方連絡事務所
しばらくたったある日、松永から更なる情報が与えられ、自衛隊地方連絡部というのが近所に事務所を構えているらしいのでそこを訪れるようにとの連絡があった。言われた場所に行ってみると中年のおじさん二人が暖かく迎え入れてくれた。とても親切であった。自衛隊の事務所ではあるが、基本的に人材確保のための部署であるため背広で勤務している。この人たちは事務関係の役人さんなのかな、と哲は思っていた。が、実は歴とした自衛官なのである。彼らは基本的に人的資源の確保が至上命題であり、民間人と接触する機会が非常に多いため背広で勤務しており、また対応も丁寧であった。また、この時代は、依然バブルの世の中であったので景気が良く自衛隊に入隊したいと思う輩もあまりいなかった。そこへ哲のような能天気な男が自ら入隊するために情報収集に来たわけだから、募集事務所の自衛官にとっては鴨がネギをしょってきたといっても過言ではなかった。
自衛官A「まあ、よくいらっしゃいました。おかけになってください。自衛隊に興味があるの?」
自衛官B「今ね、ストーブでスルメ炙ってあげるからそれ食べながら、自衛隊の説明聞いてくれる?自衛隊って本当にいいところだよ。」
優しく、本当に優しく接してくれた。緊張を解きほぐすようにスルメやお茶、コーヒーが振舞われた。哲は、「なんだ、非常にいい人たちじゃないか。」と心を開き始めていた。話を聞きながら、哲は航空自衛隊に興味がある旨を伝えた。しかし、自衛官Bは「航空自衛隊の基地にも勿論案内するけど、まずは近くの海上自衛隊の基地と陸上自衛隊の駐屯地に行ってみようか。訓練も見学できるし、昼食は隊員食堂で食べる予定だから実際隊員がどのような食事を摂っているのかとか経験することができるよ。まずは、そうしようよ。」と陸上及び海上自衛隊の見学を勧めてきた。哲は、「航空自衛隊はあとで連れて行ってくれるようだし、ま、陸海見るのも勉強になるか。」と軽く考えていた。が、しかしこれは初めから自衛官Bの「この子を必ず陸上自衛隊に入れてやる作戦」の型にはめられただけのことであった。
to be continued....