かのやオケの定演を聴きに行ってきた | A PLACE

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気にもとめなかったことがこの世界にはたくさん。
そのわずかでも拾うことができれば。

コロナ流行前まで在籍していたオケの定演が復活したので聴きに行ってきた。

かなり贔屓目になるが感想をざっくばらんに記しておこうと思う。

 

かのやオケのインスタグラム


今回の演奏を全般的にまとめて言うならば、家庭の事情があちこちにあって結構すっ転んでいたが、各所のここ一発の決め所をバッチリ決めてきたのは非常によかった。その前提となる抑え所も抑えられていて全体として表現の幅がしっかり出ていたように思う。なんだかんだで難曲目白押し。よくやったと思う。

 

各曲の印象。

 

ベト 6 は集中力がありよくまとまっていた。一発目の音程外れはご愛嬌、すぐに収斂されてきたのでよし。一曲としては長めの 15分超えだが興味を失うことなく聴けた。音のまとまり、響きが好みに合った。

 

モーツアルト40番も集中力が持続されていて、予想以上に表現の幅が広くて感心した。純粋な仕上がりとしてはこの曲が一番よかったのではないだろうか。よかったので、特筆する言葉がなくて困っている。

 

水上の音楽アラホーンパイプはどうやらフルオケ編曲版でやった模様。以前やろうとしたときはできるだけ原典に近い版でしようとしていたが、この編曲も新鮮な響きで華々しく、よかったと思う。あれだけ華々しく終わったのに拍手のタイミングが分からず曲の終わりに拍手なしという珍事(その1)。この浮いた手をどうしてくれる、と思った次第。

 

G線とガボットはおそらく前田先生の思っているテンポより早めに演奏しちゃったんじゃないかと思う。加えてどうも細かい音符が並ぶと焦るような感じを受け、それが気になった。ただ、それを除けばちゃんと楽団の中では野生の勘と思われる不思議な力でまとまっていたので結局のところは違和感なく聴けた。

 

ハイドン100番は知らないと思って聴きに来てたが、辞める前に練習してた曲だった。曲自体はよく覚えてた。どうも名前とか番号では覚えられない。さすがに集中力が切れたかして個々の演奏の粗さは散見されたが、ここでもやはり決め所が決まっていたので十分よい演奏だったと思う。決めを決めるためには一度抑える必要があるのは当然だが、その辺がよくメリハリが効いていて、ある意味爽快な演奏だったと思う。

この曲の終わりでも拍手のタイミングが分からず拍手が起きない珍事(その2)。前田先生が礼をしたことでやっと拍手が起きた。休憩中に前田先生と話ができて、水上の音楽で拍手がなかったことを言ってたので気付いたのかもしれない。

 

他、雑多な感想。

 

リナシティのホールは聴きやすいと思う。聴こえてくる各楽器のバランスがよい。管打楽器が多少強く聴こえた気がするが、弦楽器も含め全体的にどの楽器からも明確な音が飛んで来ていたのはよいと思う。

 

前半後半で進行を変えたのは面白い試み。チラシを見た限りではベト6がメインかと思っていたので、初めに出て来てビックリした。多少進行がグダグダになったがそれもご愛嬌。久しくファミリーコンサートをやっていないので、前半ファミコン後半ガチ定演という感じになった。いい感じに砕けた雰囲気に持ち込めたのではないだろうか。身内の贔屓目かな? マスクで隠れているのをいいことにずっとニタニタしてた。

 

それで思い出したが吹奏楽の定演でよくある構成でガチ曲が1部、砕けた曲が2部というのは僕が思うに順番が逆だと思う。

 

久しく会っていない人にも会えたのだが、短時間にたくさんの人に会ったので対応しきれなくて自分の対人能力の低さにちと思うところが出てきた。

 

久しく居なかったオーボエの正規団員が居た。これは大きい。管の要になるところなので常時居ると居ないとではかなり違う。しっかり曲の要所を押さえていたと思う。今時流行りの派手さはないが素朴ながらしっかりした音が僕の好みに合致。

 

今は団体の中で演奏をしようという気が起きないが、今回の演奏会中にあの舞台に居る自分というのがやはり何度か頭に過った。人と合わせるには中々の労力が必要であり、今の自分にはできないことで、ちょっと眩しいものに見えた。これだけの演奏を実現させたということは各所の努力が実ったことの証左で、よい演奏会だったと言えると思う。