鹿児島の作曲家たちによる「本日初演!のコンサートI」 | A PLACE

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気にもとめなかったことがこの世界にはたくさん。
そのわずかでも拾うことができれば。

めずらしくまともに演奏会の感想を。

みやまコンセールで行なわれた鹿児島由来の作曲家の手による新作発表会。

以下プログラム順に感想を。

1, 2 曲目は残念ながらほとんど理解できなかったので割愛。
個人的な聴く能力の問題で頻繁に曲の流れが止まる曲は苦手で、
印象としてはどちらがどちらかの区別すら付かなかった。

* 井元氏の「金管五重奏曲第1番」
初演でない曲を持ってきた?
なにか合わせが足りていない雑な印象がある?
と思ったら急遽出品できなくなった方の代役だった模様。
曲自体は金管楽器のステレオタイプである輝かしい音そのものだった。
短かめながら印象に残る曲運びが軽快でよかった。
非常に聴きやすい一曲。

* 田口氏の「思無邪」
あいかわらずモールスなどの符牒には気付けず。
ユニゾンを中心に据えた企画は面白かったし、贅沢な音色になっていたと思う。
特にホルンを絡めたおはら節のユニゾンには不思議なエコーがかかっていい感じ。
みやまでしか再現できないかも?

気になった点として、
ティンパニ、ピアノのドッペルコンチェルトのような印象を持ってしまって、
オーケストラ編成でなくてもよかったのではないかという疑問を持った。
良い面の逆面になってしまうが、
ユニゾン主体だったのでこれぞオケという弦楽器の
広がりのある音を聴けずに欲求不満を感じた。

* 伊地知氏の「古仁屋Saturday100夜のアゲー」
今回の演奏会での一番のお気に入り。
1プル1管編成とは思えないオケの鳴りに感動。
曲想も素直に流れこんでくる印象で、非常に聴きやすかった。
仕事中の BGM にしたいくらいで映画音楽のような感じ。
逆に目新しさはなかったのかもしれないが、それは別の話。

* 石田氏の「青藍の迷宮」
なにか今ひとつ印象に残っていない。
悪い印象もなかったのだが、曲自体があまり思い出せない。
ピアノを排した純管弦楽だったのだが、
聴きどころが局所で散発していたような記憶がある。
曲のことではないが、
配布されていた解説に直接譜例を載せて文字がなかったのには
理詰めの人そうな人となりが見えたような気もする。

* 久保氏の「大隅曼荼羅-室内管弦楽のための-」
リハと本番でまるで変わったのはこの曲。
リハでは正直なところ好き勝手やっている印象しかなかったが、
本番では奏者が音をはめてきたのか、自分自身の耳がこなれたのか、
おそらく両方だと思うが、それぞれの音が絶妙にハマって
オケ全体が鳴っていた。リハのときには埋もれていた一貫した
フレーズがちゃんと浮び上がってきていたので身震いを覚えた。
曲全体で山を一つ作ってきたのも「不動」を感じて感慨があった。

ところでトークセッションもあったのだが、
マイクは全員分用意しておくべきだったろうと思った。
マイクを取って発言権を得るというのは意外とハードルが高い行為で、
自由に喋ってほしければいつでも喋れるようにしておくべきだったと思う。

もうお約束に近いが、田口氏はやはりアイマスをかましてきたことを報告しておく。
本当はもっといろいろタメになる話が聞けたのだが、
書き出すと全部書かんといかんので割愛。