「トルコ、南アフリカ、インドが利上げした。先進国が金融危機対応で超低金利策をとる中で、成長が続く新興国の相対的な魅力が増し、資金が流入した。しかし米量的緩和縮小を受け通貨が下落したため、金利を上げて資金流出を食い止める通貨防衛に乗り出した。」
この記事は、2/14の日経新聞に掲載されていた記事の一部分を抜き出したものです。アメリカの量的緩和縮小の発表を受け、新興国通貨が下落したということはニュースなどでもよく取り上げられていますが、「新興国が利上げを行い通貨安の攻防を行っている」という情報になると頭に「?」が浮かぶ人が多くなるのではないでしょうか。
冒頭の記事を読み解くためには「利上げ」というキーワードを理解しておく必要があります。このキーワードの意味を知ることで、ニュースを深く読み解くことができるようになるだけではなく、新興国が今行っている政策までも理解することができるようになります。
利上げで通貨安を防げるのか?
ここで言われている利上げとは、中央銀行が銀行にお金を貸し出す際の金利である「政策金利の利率引上げ」を指します。これを引き上げることにより、銀行が企業に貸し出すときの金利や、預金の金利も連動して上がっていきます。その結果、大きな資金を動かしている投資家の間では、その国の銀行に資金を預けて利子を稼ごうという行動に繋がりますので、その国の通貨が買われて下落も収まるという流れとなります。
「利上げの狙いは通貨防衛だけではない。直近の消費者物価上昇率をみると、ブラジルが6%近く、トルコが7%台、インドが10%台など、インフレの兆候が顕著だ。通貨安で輸入物価が上がれば、物価上昇圧力が強まる。新興国が成長を遂げたのは1980年代のような悪性インフレを克服したからだが、その前提が揺らぎかねない。」
通貨安になると何故インフレになるのか?
例えばインドの国民で日本から100万円の自動車を輸入しようとする人がいるとします。仮にインド通貨の為替相場が1ルピー=50円とした場合、20,000ルピーで購入することができます。通貨安により、1ルピー=40円にルピーが下落すると、日本車を輸入するためには25,000ルピーを出さないと買えなくなります。要するに、国内で製造できない輸入品の値上がりで物価全体が上昇(インフレ)するという結果となり、さらに国民にとっては支出が増え生活への負担が重く圧し掛かるという結果を招きます。
【豆知識】消費者物価上昇率とインフレは同じ意味と捉えていただければと思います。正確には「インフレ率」は消費者物価指数、企業物価指数、卸売物価指数など物価に関する指標を計算して算出しますので厳密には同義ではありませんのでご注意ください。
昨今の新興国経済が世界に占める割合は、97年の2割程度から直近では4割近くにまで高まっています。新興国が政策のかじ取りを誤ると、世界経済はこれまで以上に激しく揺さぶられることになります。例えば、2014年に入ってからの世界同時株安は、アルゼンチン通貨が大きく下落したことから始まっています。それが各新興国へ飛び火し、先進国経済を揺るがした形となっています。今後もますます新興国の動きには目が離せないでしょう。