夢野久作は一般的には「読むと発狂する『ドグラ・マグラ』を書いた人というイメージが強いかと思います。しかし『ドグラ・マグラ』だけではなく。『きのこ会議』などの童話作品や、今回紹介する『空を飛ぶパラソル』のような社会派な作品も手掛けています。

『空を飛ぶパラソル』は一言でいえばマスコミのあり方を痛烈に批判的に書いた作品と言えるでしょう。夢野久作本人も新聞社に勤めたことがあるので、その経験が作品に活きて実に生々しく描かれています。マスコミの負の側面を描いた作品は現代では多く存在しますが、この『空を飛ぶパラソル』は夢野久作が生み出しただけあって非常に卓越した面があると思います。

 現代ではインターネットで誰でも気軽に情報が発信できる時代になりました。だから我々も自分の発信した情報が誰かを傷つける可能性がないか考えないといけませんね。