受け継ぐ者
「開けずの間」
とある家に取り憑いた「どんな願いでも命と引き換えに叶えてくれる」神の話です。家の人たちが神に翻弄されて崩壊してく姿が恐ろしかったです。この神は三島屋シリーズの中でも非常に厄介な物の怪だと思います。でも、最後のオチで少し救われました。
「だんまり姫」
霊を呼ぶことができる女性、おせいさんと一国様と呼ばれる男の子の霊との、摩訶不思議な話です。ツチグモとの伝承を絡めた話が面白かったです。富次郎さんは絵が上手いという特技が判明しました。もしかして三島屋シリーズの挿絵を描いているのは……。
「面の家」
またもや人の願いを叶えてくれる物の怪の話です。こういう人の心に付け込んでくる物の怪の話が多いですね。語り手であるお種さんは行儀が悪い人なのですが、根っからの悪人であるとは感じさせない人柄でした。
「あやかし草紙」
勘一さんの人柄の良さが伝わってきました。富次郎さんが書いた絵は1つの箱に収められ、それが「あやかし草紙」と呼ばれるようになりました。そしておちかさんのお兄さんも、おちかさんも前を向いて歩く展開になりました。こっちの心の明るくなります。
「金目の猫」
伊一郎さんも富次郎さんもとっても良い人です。兄弟の幼少期の不思議な話は読者を惹きつける力があります。おちかさんが嫁入りしたことで聞き手の役割が富次郎さんに引き継がれました。まさに終わりと始まりを感じさせました。