心が読める家政婦の話

 

 言わずと知れた筒井康隆氏のSFの名作です。漫画化、ドラマ化されるぐらい人気がでた作品です。『七瀬三部作』の第1作目です。漫画版は2作あり、それぞれ講談社の漫画雑誌である『週刊少年マガジン』、角川書店の漫画雑誌である『コミックチャージ』で連載されていたのですが、『週刊少年マガジン』版はあの赤塚不二夫氏が執筆されました。

 テレパスである主人公、火田七瀬さんにより、8つの家庭の模様が克明に描かれます。テレパシーを扱っている作品なので大方の予想はできると思いますが、非常にドロドロしています。8回も人間の心の闇に翻弄される七瀬さんが不憫でなりません。人の心なんて分からない方が幸せだと思いました。

 望まずしてテレパスになってしまい、自身が超能力者だと世間にバレないように必死で生きる七瀬さんが不憫でなりませんでした。普通ではない能力を持っているせいで、普通の生活を送ることができません。

 僕が一番好きな話は、「日曜画家」ですね。人間の持つ業をリアリティを持って描いた所が好きです。

『七瀬三部作』の2作目が『七瀬ふたたび』、3作目が『エディプスの恋人』です。これらの作品も非常にお勧めです。