それが映画になり、WOWOW放送ということで、覚悟を決めて観ました。
覚悟を決めて、とはちょっと大袈裟なのですが、このドキュメンタリー、信友さんと自分が重なって、覚悟がないと観れないのです。
私は信友さんと同世代であり、同じ一人っ子。
信友さんは、仕事で東京に住み、広島の実家では老夫婦二人で暮らしていました。
私も嫁に出てしまったので、車で2時間ほどの距離の実家では、両親が2人で暮らしていました。
両親は、お互いを依存し合いながら生活し、
「自分たちで出来る間は、迷惑をかけたくない」という両親の考え方も全く同じ。
うちの場合は、父が難病を患い、母が70歳すぎまで10年以上も介護する生活となり、本当に苦労しました。老老介護で大変になっても、私には、
「あんたにはあんたの生活があるから、そっちを大事にしなさい。私は大丈夫だから。」
母はいつも、そう言っていました。
私ができたことといえば、市に相談して介護の認定を受け、行政の手を借りることで、多少の負担を軽減してあげることだけでした。
信友さんのご両親は、介護が逆で、お父様がお母様の世話をするかたちでしたが、高齢のお父様でしたので、信友さんの心配は、私以上だったでしょう。
信友さんは、映像に関わる仕事をしていたことで、認知が進んでいくお母様を、ありのまま撮ってきました。
優しかったお母様が怒ったりふさぎこんだり…
お父様は、放っておくしかないと言っても、信友さんはどうしていいかわかりません。
撮りつづけながらも、声をかけ、時にはカメラを置いて、お母様の元にかけつけます。
でも、何もできない娘…
切ないですよね。
お母様はお父様に関わってほしい。
一生懸命訴えるのに、耳の遠いお父様には何を言っているのかわからない。
聞こえていても、認知の進んだお母様の言っていることが理解できない。
もどかしいけれど、それが日常。
頻繁に実家に通っていたとしても、見えている日常は、ほんの一部。
私の母が吐露した言葉。
「じいちゃんは、あんたたちが見ている姿とは違うんだから。」
私には絶対見せなかった、わがままな父、弱気な父、怒鳴る父…
全部受け止めていたのは、年老いた母。
信友さんの映像から垣間見えた両親の本当の姿。
娘にとって、両親はずっと親であったこと。
どんなことがあろうとも、私は、あなたたちの娘であったことが幸せです。
信友さんの映像から、私もあらためて感じたことです。