私の世代で「里見八犬伝」というとNHKの人形劇だ。亡くなった坂本九が黒子で語りをやり、辻村ジュザブローの人形の素晴らしさに熱中して見たものだ。
この作品は83年公開で、カドカワ映画では中期の頃になると思う。公開当時に映画館で見たが、当時は特別な感想を持たなかった。
カドカワ映画を自社の出版事業と映画とのコラボを目的とした作品とするなら、この作品にはそれらしい原作が無い。滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」が角川書店の専売というのは聞いたことが無い。
一応原作は、「男女7人夏物語」の鎌田敏夫となっているがこれは原作というより映画版のノベライズの様だ。
ストーリーは、里見家の静姫(薬師丸ひろ子)が毒婦玉梓(夏木マリ)に命を狙われるが、八犬士に守られ最後は玉梓を討ち取るというもの。途中に八犬士の一人である真田広之との恋心も描かれている。八犬士には、他に今は亡き千葉真一や志穂美悦子も顔を揃え、アイドル(薬師丸&真田)とJACのアクション。そして、大ムカデ等の特撮も加え、盛りだくさんの娯楽作品となっている。
良かったと思うのは玉梓の夏木マリで、「絹の靴下」のフィンガーアクションで世の中の男性達を挑発した彼女もすっかり毒婦役が板に付いた感じだ。
現在も舞台で「千と千尋の神隠し」の「湯婆ば」役を演じている。