こんにちは
少し時間があいてしまいました
乾燥、保湿について、今回からしばらくお送りいたします
皮膚のいちばんのお仕事は、バリアです
あらゆる刺激から内部を保護し、体表からの水分蒸散をふせぐことです
バリアがよわくなれば、乾燥するし、乾燥すればバリア機能は低下します
健常で若い皮膚は、刺激につよいし、水分もたっぷりです
としとともに、バリア機構、水分量ともに低下します
バリアがはたらいているということは、水分蒸散を防ぐことでもあるので、どちらも同時に低下します
逆に、保湿することはバリアを強化することでもあります
皮膚科には、老人性乾皮症という、なんか失礼な病名があるほどです
皮膚断面図です
いちばん上の表皮が、目に見えて触れる部位です
お顔で約0.2㎜のうすさです
真皮とのさかいめには基底膜があり、その直上で細胞が分裂します
うまれたての角化細胞は、70%が水分で、のこりの成分はたんぱく質と脂質がほぼ半々です(こまかい成分は省略です)
細胞はだんだん水分をうしないます
残ったたんぱく質どうしは架橋して、強固な構造をとります(コーニファイドエンベロープといわれます)
脂質は脂質で、お互い結合して、セラミドや脂肪酸、コレステロールなどの構造をとり、その隙間をうめます(細胞間脂質)
そして、水分をあいだにはさんでラメラとよばれる層状の構造をとります
このため、皮膚は疎水性で、水をはじくのです
こうして角質層は、からだのいちばん外側で、バリアとしてはたらきます
かんたんにいうと、角化細胞は最初は個々で、最後は総合体となって、表皮全体でバリアとなっているということです
なじめからおわりまで、全体の成分比率はほぼ同じです
健常皮膚の表皮は、水分70%、のこりはたんぱく質と脂質が半々です
以前は、核を失って死滅した細胞は垢となって脱落していくだけの、不要なものと考えられていたのですが、実は死んだ後もはたらいているのですねーすごいですね
細胞の残骸が、化学構造をかえて、外界にさらされているおかげで、新しい細胞が分裂する環境がととのうのです
わー
むだがない
角化細胞が、このような分化をたどることは、細胞に遺伝子情報としてくみこまれています
老化とともに、遺伝子がうまく発現できない細胞が増えると、角質層の構造がうまくつくられなくなります
また、栄養不足などで、たんぱく質や脂質の比率がかたよったりしても、バリアは低下します
バリアの低下はすなわち水分量の低下です
としをとったり、栄養状態が不良だと、皮膚がかさかさする、というのは、こういうことがミクロレベルでおこっているからなのですね
つづく