私は2023年7月5日(水)にきらめき病院で腹腔鏡下大腸ガン切除手術を受けました。

同年6月にS状結腸ガンが発見された時点でStage IVでした。

 

術後は3週間に1回の通院でXELOX療法で抗がん剤治療を続けています。

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江國香織原作の『東京タワー』がテレビの深夜枠で連ドラ化されています。

永瀬廉演じる医学生、小島透(21歳)と板谷由夏演じる建築家、浅野詩史(45歳)の年の差ラブロマンス。

(C)テレビ朝日 (C)ストームレーベルズ

 

1話30分で気軽に見られるかなと思って見始めたこのドラマ。

 

あるセリフが心に残っています。

 

「私、あなたの未来に嫉妬してるの」キラキラ

 

詩史が親子ほど年下の恋人に投げかけたセリフ。

 

わかるー。10年後、彼は31歳で新しい経験をどんどんしているはず。そのとき彼女は55歳で、もう若くない。彼女ならまだ美しいかもしれないけど、成熟を極めたステージにいるでしょう。

 

20年後、彼は41歳の男盛り。そのとき彼女は65歳。国が定める「高齢者」になってしまう。どんな美人でも容色の衰えは隠せません。

 

どんどん輝きを増していく彼と静かに輝きを失っていく彼女。

 

切ないです。

 

でも、今の私は「あなたの未来に嫉妬しているの」を「未来のガン患者さんたちに嫉妬しているの」に置き換えたい心境です。

 

結核の特効薬ストレプトマイシンが発明されてから「昔、結核で人が死んでいた時代があったんだって」と言われるようになりました。

 

それと同じように「昔、ガンで人が死んでた時代があったんだって」と言われる日がいつか必ず来て欲しいと切に願っています。

 

でも、私が生きている間にそんな日が来る確率は限りなくゼロに近そう。

 

分子標的薬が発明されただけでもありがたいと思わなくちゃいけないのが現実です。

 

その分子標的薬も、今の私には効かなくなってしまいました。

 

ガンの特効薬が発明されたら、多くのガン患者さんが救われます。心からそれを願っています。でも、私はきっと間に合わない。

 

せめて抗がん剤の副作用による脱毛が避けられるようになって欲しい。そんな日はきっと来ると思うけど、私は間に合いません。

 

今、私を診てくれている若いドクターも10年後は40代半ばになり、今より成熟して立派な先生になっているはず。でも、私は10年後には高い確率でこの世にいないでしょう。

 

未来のガン患者さんたちは、もうガンで死なない時代を享受できて、成熟した私のドクターに診てもらえて、脱毛もしない。どれも私にはかなわないことばかりだから、羨ましいです。

 

私は死ぬこと自体は怖くないです(痛みは怖いけど)。

 

死ぬのが怖くて泣いたことは一度もありません。

 

案じてくれる優しい友人たちに囲まれて、おばあさんになる前に天国に行けるのは神様からのご褒美だと受け止めています。

 

でも、未来の仲間に入れてもらえないのは切ないです。

 

「私、未来のガン患者さんたちに嫉妬してるの」キラキラ虹