そりゃ借りてきて観たさ。
自分であんだけ話題にしたわけだし。
この手の映画は自分の中では鑑賞の優先順位として低い。
カンヌで話題にならなかったら本も読まなかったし、アカデミー賞で話題にならなかったら映画も観なかったと思う。
でも、せっかくならと思ってみてみたら、久し振りに良い映画を観られた。
非常に満足!
不評を唱える人たちは、わっかりやすいドラマやエンタメ映画ばっか見てる人か、村上春樹ファンなのだろうか?
この手の映画が「合わない」ってことなんだろうね。
それに、どこにでも逆説・逆張り・全否定を唱える人々は一定層いる。
(もしそうならそこで個性出さなくてもいいのに)
あるいは炎上ビジネスとか。
村上春樹の小説では黄色のコンパーチブルだけれど、映画は色が映えるので赤を使用。
コンバーチブルではなくツードアのクーペ。
村上春樹の「女のいない男たち」という短編集から「ドライブ・マイ・カー」「木野」「シェエラザード」という3作品を合わせて脚本を作り、そこへチェーホフの「ワーニャ伯父さん」をプラスした、原作とは全然違う内容。
村上春樹の作品だと思って期待して観たファンは我慢を強いられる心境になるかも。
使われているセリフはそれぞれの作品から引用している部分が多数あるので、まだ読んでない人は答え合わせとして読む分には楽しいんじゃないかな。
と、村上春樹を知らず、映画を観て小説を読みたいと思った人へは勧めたい。
そうじゃなければ、小説はどれも「盛り上げといてオチなし」の肩透かしを食らう。
妻を亡くした男と、彼の運転手として働くことになった女性が、様々な出来事を通して心の傷と向き合い、再生していく物語。
西島秀俊の
「僕たちは正しく傷ついてこなかった」
とは「木野」に登場したセリフ。
最後に救いはあるけれど、せつなくて哀感が残った。
露骨に感情が爆発するシーンのない静かな映画。
日本語、英語、韓国語、北京語、手話が混ざって、少し実験的な取り組みもあってよかった。
俳優さんたちが演劇祭で演じる「ワーニャ伯父さん」のセリフが「偶然」というかたちで主人公の心境を表す言葉となるのが効果的でもある。
総じて、評価が高い理由がわかるし、日本映画の良いところが出た作品だと思う。
演技も適度にウエットだし。
何はともあれ、国際長編映画賞おめでとうです。
私が大騒ぎしていた割には対抗馬の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は監督賞のみの結果となり、下馬評どおりとはならず。
個人的には「ドッグ」のほうが考えさせられたし好きだけど、「ドライブ」も面白かった。
3時間という物理的な時間がとれらてしまうのがネックだけど、時間の長さを感じさせないのは監督の手腕だと思う。
51歳でこの潤いですわよ、皆様!
その魅力にもうすっかりメロメロに~~~
西島ロスが起こったのもわかるわ。
いい男なんだもん
それもこれも含めて、忘れられない良い作品と出合えて感謝の「ドライブ・マイ・カー」でした。