ある特定の凶悪犯罪、もしくは犯人について取り憑かれたようにその記録、情報を収集する人が存在するのは知っている。

ジョン・ウェイン・ゲイシーやテッド・バンディのファンとかね。(古いな)

ただ、まさか、自分もその一人になるとは思いもよらなかった。

 

私の場合は木嶋佳苗の事件だ。

理由はわからない。

 

といっても、没頭するほどの沼化した収集癖はない。

すぐ抜け出せるあたりではまる、という小心者である。

だから私は出世しないのよねと思ったりもする。

 

 

 

これ、面白かった!

内容は深くはないけれど、週刊誌掲載のネタなので、覗きの好奇心は満たされる。

 

本書は裁判中の木嶋佳苗の観察記録であったり、立件された数々の犯罪の詳細、彼女の来歴、家族についてなどを書き記している。

彼女は自称「すごいテクニシャン」だそうだけれど、私に言わせれば、それほどではなさそう。

結婚詐欺で虜にした男たちが女性慣れしていない人ばかりだから、必ずしもそうとは言い切れないから。

 

ここで、たまたまロバート・ヘア教授の「診断名サイコパス」を同時進行で読んでいたおかげで気づいたことがある。

 

彼女はサイコパスなんだろう。

それも暴力性を伴わない。

 

大抵のサイコパスの犯罪には暴力性がつきものなのだけれど、彼女の場合は性格(あるいは教養)が幸いしてか、血生臭い犯罪はない。

サイコパスのレアケースだ。

感情をあらわさないところもサイコパスの一環のように思える。

 

ちなみに、猟奇殺人をするのがサイコパスなのではなく、

「良心」がなく、平気で嘘をつき、自分の犯した犯罪行為に対して罪悪感を持たない人がサイコパス。

他にも諸条件はあるけれど、わかりやすい特徴はこのへん。

 

アメリカでは人口の4%の割合、つまり25人に1人がサイコパスだといわれている。

相手の感情をおもんぱからないので、平気で部下をこき使い、自分は大会社のCEOになっていたりするというし。

諸刃の剣だ。

スティーブ・ジョブズがそうだというじゃない。

平気で嘘をついたかどうかは知らんけど。

 

本書に戻りますが、本文で筆者の書く、

「生々しく悔しがり、嫉妬し、怒る、感情的で面倒くさい美人より、自分をすべて受容する料理上手で感情を見せない不美人のほうが、男たちは夢を見やすい」

は言い得て妙だと思った。

サイコパスが相手の心理に巧みに入り込むすべを心得ている人種とはいえ、これは不変の真理のように思える。

 

余談だけれど、「会った人全員の悪口を言う」が嫌になって離れたかつて仲良くしていたお姉さんは木嶋佳苗にルックスが似ていた。

彼女はサイコパスではないけれど、今思えば、あの悪口吹聴力の凄まじさはえげつなかった。

あまりに悪口がひどくて、彼女の示す良心は本物だろうかと疑ったほどだ。

あんな人でも優しそうで人間のできてそうな品のいい男と結婚したもんなあ。

似て非なるものとはいえ、扱いの上では類似品だったのかも。。。