暦の上では春といえど、気温は春と冬を行ったり来たり。

花粉症と菜の花、山菜、はまぐりがスーパーに並ぶと四季を感じるけれど、

体感温度はやっぱり冬。

どんなに雑誌やテレビが春を煽ろうとも、寒いので真冬の格好をする毎日だ。

 

冬なのは気温だけではなく、天体もいまだ冬の様相。

夜空を仰ぐといつもと同じ場所に大きなオリオン座が輝いている。

 

オリオン座は冬の星座。

秋にかろうじて東の空へ姿をあらわすけれど、

冬は中央へと位置を変え、おおいぬ座、こいぬ座を結んで「冬の大三角形」をつくる。

 

星の名前はよく知らない。

そして、私が天空の星を結べられるのは北斗七星とオリオン座くらいだ。

 

星々のあいだを航路のように結んで物語を紡ぎ、

天上に英雄や伝説、喜悲劇を思い描く。

古代の人々の想像力はなんともたくましいものだと感服する。

 

永く春が来ず、星明かりも見えない暗夜行路をいく我が人生だけれど、

それにも関係なく日は昇り、夜には月と星が瞬き、やがて訪れる夜明けが地上では繰り返される。

誰にでも平等でありながら、後戻りができない時間の仕打ちは残酷だ。

 

月日が流れ、今年の冬また、私がオリオン座を見つける頃には何か変われているのだろうか。

どんなに努力しても実ったためしがない私はどう挑戦していったらいいんだろうか。

 

見上げても星は答えない。

ただ誰にも差別ない鈍い光を放つのみ。

答えを出せるのは自分しかいない――それが確かな真実のようである。