梅を沢山買った。

野菜の売店に開店前に行って、一番乗り。

何としても、良い梅を買いたい。
買わねばならぬ。

30分近く待って、ようやく店が開き、外からガラス越しにチェックしていた梅の売場に直行した。

良さそうなのを手に取っていると、直ぐに後ろに人がわんわんやってきた。
凄い人気だ。

私が梅を籠に入れて、別の売場へ移動して、振り返って梅売場を見ると、一人の女性がカートに入りきらないくらいにいっぱい梅を入れているのが見えた。

私も沢山買い込んだが、上には上がいる。

既に10キロはありそうだ。

そして、また一つ手に取って、カートに入れようとしているではないか。

あの人は、長年主婦をして来たのだろうか。
きっと、周りの人は、彼女の作る梅干しや梅酒を楽しみにしているのだろう。

陳列されていた梅は、開店から10分経たないうちに、ほとんど無くなっていた。


先手必勝!

無事に新鮮で良い梅を手に入れることが出来て、ホクホクで家に帰ってきた。


さて、何から作ろう。

まずは、梅酒から。

普段は、麦焼酎を使って作っているのだが、今年はフ・ン・パ・ツ。

鹿児島の一瓶五千円もする黒糖焼酎を、梅酒用に買い込んでいた。

少し味見してみたら、もう梅なんて無くても既に美味しい。

今すぐ飲み会をしたいくらいだ。

しかも、ラベルが粋だ。

無いものばかりが目について心が荒れていた……
有るものに気がついて……?

なんか、私に言っているのかと思うような文章じゃないの。

このお酒をチビチビしながら、洗ってボールに入れた梅のへたを取り始めた。

梅の実は、なんて良い香りなんだろう。
甘酸っぱいような、甘い香りがした。

そして、いくつかの保存瓶に、梅と氷砂糖を入れ、最後に焼酎を注いで蓋をした。

来年が楽しみだ。
いや、一年も待てずに飲んでしまいそうだが……。


次は、梅干し!

少し前に買っていた法瑯の容器を使うときが来た。

容器を消毒して、梅干しを並べ、大島の天然塩を振りかけた。

まるで、梅が砂風呂に入っているみたい。
美味しい梅干しになっておくれ……

私は、もう何年もさんざんな状況ではあるけれど、こんな風に梅を買いに行ったり、保存食を作る時間を持てることは幸せだなあと感じているよ。

病気が、人生を変えてくれたんだ。

そして、梅を食べて、もっと元気になるよ。