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ゴールデンウィーク、読者の皆様はいかがお過ごしかな?
メリーは、今日、午前中から用事があって出掛けていた。
午後からも別の用事があって、忙しいから近所のお蕎麦屋さんでお昼を食べることにした。
いつも出迎えてくれる奥さんは、何回行っても、「うちのお店初めて?」と聞いてくる。
奥さんは、まだ70才くらいに見える。
ボケるには早いだろうから、単に物覚えが悪いのかもしれないと思っていた。
メリーは、その店におそらく10回以上は行っている。
「もう何回も来ていますよ」と答えると、奥さんは失礼しましたと言うけれど、もう何度もこのやり取りを繰り返している。
覚えられないなら、余計なことを言わなければ良いのになぁと思うが、奥さんは全然気にしていない様子だ。
メリーは、この近所ではここの蕎麦屋さんが一番美味しいと感じていた。
店のご主人は、以前、私が食事をしていると厨房から出てきて、色々なことを話してくれたことがある。
材料を買い付けるために、車で3時間以上かかる場所まで行っていること、蕎麦の味が変わらないように、いつも同じ農家さんから蕎麦粉を買い付けていることなど。
しかし、今日、その店を訪れたとき、何かがおかしかった。
厨房の方から若い男性の声がする。
その人が、奥さんに何かを注意しているようで、奥さんはごめんなさいと謝っていた。
おばあちゃんという言葉が聞こえたから、もしかしたら、お孫さんなのだろうか?
いつものご主人、居ないのかな?
奥さんは、同じことばかりを繰り返し話している。痴呆が始まっちゃったのかな…
若い男性は、最初のうちは、そうなんじゃないの?と奥さんに話を合わせている様子だったが、何度言っても同じことを言ってくる奥さんにぶちギレて、遂には大声を出していた。
イライラするのはわかるけど、怒った人が作ったもの、食べたくないんだけどなぁ…
料理には作り手のエネルギーが入るので…
暫く待つと、食事が運ばれてきた。
食べてみると…
なんか、いつもと蕎麦の味が違う。
瑞々しさがない感じ。
天婦羅は油っぽくて、半分くらい食べた辺りから胃がもたれてきた。
しかし、季節の山菜の天婦羅なんて珍しいものだから、頑張って最後まで頂いた。
残りの蕎麦をすすっているときにコトは起きた。
ザルの上に、何か黒っぽいものがへばり付いている。
上に振り掛けた海苔がだまになっているのかと思い、箸でつついてみた。
しかし、全然広がらない。
あぁ、メリーはド近眼なんだ。
蕎麦が入っているザルを手にとって、その黒い物体を近くでジーっと見てみた。
何か羽のような、手のようなものが…
ひぃっっっっ!!
これ、ハエ…
うっわ、どうしよう。
殆ど食べちゃった。
直ぐにお店の人に声を掛けると、お待ちくださーい!と。
……。
暫くして店員さん(奥さんじゃない年配の女性)がやってきた。
これは虫じゃない?と伝えると、店員の女性はすぐにそのザルを持って厨房に入って行った。
厨房の中で騒ぐ声が、店内に響いてきた。
声が大きすぎ…
暫くして店員の女性が戻って来て、直ぐに作り直しますと。
正直、もう今は気持ちが悪くて何も食べたくない。
もう殆ど食べ終わる頃だったし、もうお腹一杯ですと伝えると、
それなら蕎麦の代金は要りませんと。
あぁ、そうして頂けたら…
と思った次の瞬間、
天婦羅の代金だけ頂きますと。
ははっ…
天婦羅蕎麦を頼んだのに、蕎麦と天婦羅の代金を分割するのか…
私だったら、お代は結構ですって言うだろうけど、個人店はそれではやっていけないのかな…。
まあ、兎に角、さっきまで店主の奥さんに大口叩いていた若者は大人しくなったようだ。
今や厨房は静まり返っている。
調理の方、奥さんのことをうざがっていたが、あなたの方がボケてるよ。
普通、たまたま鍋にハエが入ってしまったとしても、茹でた蕎麦を盛り付けるときに、真っ黒のハエが乗っていたら気付かないかな。
凄く大きなハエだったのに。
それに厨房にハエが飛んでいたんだよね。
いやぁ、自宅で蕎麦を茹でても、ハエが出てくることなんてないけどなぁ。
どういう条件が重なると、こんなことが起こるのだろうか。
年配の店主と奥さんは、確かに記憶力は衰えているかもしれないが、お客さんに身体に良いものを食べさせたい、喜んで貰いたいという気持ちに溢れており、提供する食事にプライドを持っていた。
若い人から見たら、ボケ老人は疎ましい存在なのかもしれないが、老人ですらやらない異物混入をしてしまった若者の方がボケているじゃない?
改めて、人の価値とは、年齢だけでは測れないと感じたよ。
店を出る前に、店員さんに店主のことを尋ねると、現在入院中だという。
早く店主が退院して戻ってくれることを願うばかりだ。
