皆様ご無沙汰しています。更新していない間も相変わらずのいいね、フォローありがとうございます♡
と言っても前回の記事から2週間しか経っていないのですね。プライベートでいろいろありすぎて、もう2か月ぐらい経った気分です。。。
そして実はこの投稿、アメリカのとある州のとあるホテルで編集しています。ハブ空港からローカル線に乗り換えて日本から丸々1日ぐらいかかってやっと到着する田舎町です。少なくとも1年はこの土地で頑張る予定です。今までBTSだけでなく私自身にも励ましの言葉をかけて下さった皆さん、本当にありがとうございました。これからも変わらずに応援して頂ければ幸いです。
本当は日本にいるうちに今までのコメントやメッセージへのお返事をしっかり書いて、書き途中だった渡米のご報告も投稿してから心置きなく旅立とうと思っていたのですが、いつもながらすべてがギリギリで間に合いませんでした。(お返事は今後も少しずつではありますが書いていきます♡)
今日の記事はもともと楽曲がリリースされて間もなく書いたもので、まだ彼らがソロ活動に入っていく未来も知らずに書いているので、いろんな意味で今更感満載なのですが、このタイミングで投稿しなかったらお蔵入りになるので投稿しちゃいます。
***
本当にあれがベストだったのかな
僕はとにかく次が見てみたい
懸命に過ごしてきた
昨日の日々の中に とても美しく
今までも正直言って最高だったけど
でも僕のベストはこれから
ふざけてるわけじゃない 本気だよ
あの日に向かって
息が切れるほど
君と僕 最高の瞬間はまだこれから
Moment is yet to come
Yeah
「これってこんなに一生懸命やる感じの人だったの?」
よくある朝カンファの一場面、レジデントが夜間に診た急患についてプレゼン中、ふいに放たれた上級医の疑問。心肺停止でERに運び込まれた50代男性、救急隊接触前に妻の心臓マッサージがあったと言えども、来院時採血を見れば、手遅れであることは明らかでした。それでも、そこに居合わせた救急医たちと、循環器内科医たちは、患者さんをカテ室に運び込み、体外循環を回し、可能な限りの救命行為を行ったのです。その間、通りすがりの研修医や救急隊の方々の他、リーダー自らも重い放射線遮蔽用の鉛ベストに身を包みながら、汗を流して心臓マッサージをして、何とか命を繋げたわけですが、偶然にその場に居合わせた私も、カテ室に移ることを決断する前のリーダーの逡巡する心の内を耳にしていました。
「あーこの脈は心もとない…。お前を呼んだときは脈なしVTだったんだけどなぁ」とつぶやいた彼の言葉に、「とりあえず(カテ室に)上げよう」と答えた循環器医。正直、えっ?と思ったけれど、「やると決めたらやろう」と言って次々と指示を出し始めたリーダーに言われるがままにカテ室まで行くハメになりました。
今だから「ハメになった」などという言い方していますが、その時はもちろん必死です。グクがいつかのVライブで「Vヒョン、リハーサルの意味をわかってますか?」なんて言っていましたが、「なんちゃって本番」的なリハーサルほど意味がないものがないように、「なんちゃって蘇生」ほど意味がない蘇生行為はありません。たとえこの患者さんは手遅れだと思っていたとしても、お体に侵襲を加えて治療する以上は本気でやらないと目の前の命が浮かばれないし、そこで本気を出すことで初めてその経験が次の患者さんに生きて、文字通り「命のリレー」になるわけです。
だから、この時だって、その場にいる全員がみんな本気でやった。この世とあの世の瀬戸際で揺れる命の前で士気がそがれるような言動や態度は誰一人許されないはずだから。
でも場合によってはその「本気」を一晩に何度も求められることがあって、一睡もできないこともある。そんな当直明けのカンファ中、現場にいなかった上級医の一言。「これってこんなに一生懸命やる感じの人だったの?」
愚問だなぁと思いました。そこにいて、プレゼンを聞いていた医療者全員が、医療的な適応がないという意味で「一生懸命やる感じの人」でないのは分かっていたはず。医療資源の無駄。そのせいで本当に救える誰かが犠牲にされた可能性だってあるかもしれない。それでもその場に居合わせた医療者が何とかつなげようとした命。当直明けの強い日差しを浴びて、妙に白けた気分になるのはよくあることだけれど、そんな日差しの何倍も容赦ない疑問を投げつけられて言葉を失ったレジデントの顔に突如訪れた疲労の色。
その晩、4人もの蘇生を求められて、でもその中にいた20代の患者さんさえ救えず、その親御さんに病状を説明している最中に、同じ遺伝性疾患をかかえていた母までもが急変する信じられないような事態を横目で見ながらICU当直として一夜を明かした私自身はと言えば、上級医の愚問を受けて自問自答するような気持ちになっていました。果たして自分自身は初心を忘れずに「本気」になれているだろうか、と。
というのも、ERで心肺蘇生マラソンが生じている間、私は外科病棟で呼吸不全に陥った患者さんの対応に追われていたのですが、末梢静脈路を確保するのも難しいようなご高齢の方に穿刺を繰り返しながら、「そもそもこんな血管でまだ生かされてること自体、生命の原則に反してるんだよな」などという思いを意識的に振り払って治療にあたっていたからです。
3時間様子をみて、結局人工呼吸器につながざるを得ないと決めた時も、ここまでやるのかという疑問が全くなかったと言ったらウソになる。ただ、私がその患者さんに対して一瞬にして愛着を抱いたのは、一緒に病棟から降りてきた担当外科医がその患者さんをとても大切にしていたからです。当直でもないのに、深夜にICUに患者さんを連れてきて、耳は遠いけれどゆっくりと耳元で話せば意思疎通が図れる方だということを教えてくれた担当医。通常、急変時に強調しがちな病態の詳細より、そういったディテールを教えてくれた彼のアプローチが単純に私の緊張感をほぐしたのだと思います。
だから私も患者さんを引き継ぐ時には私なりの愛着が伝わるようなプレゼンを心掛けないといけないと思っていますが、医療者というのは、自分たちが命をつなぐだけでなく、実は患者さんに医療者同士の縁をつなげていただいていることも多くあるように思います。
かつて一緒に働いていた人からの紹介状や、同期のカルテを目にしたときというのは、何となく感慨深い想いにさせられたりもするし、実は上記の外科医も、蓋を開けてみると、私が研修医時代に、渡米の夢を話していた別の病院の先生と一緒に働いたことのある先生だということが判明しました。
そんなわけで、図らずも来月渡米することになった旨を伝えると、初対面とは思えない熱烈な応援の言葉をかけてくれました。暗いICUの一角、急変対応中にいつの間にか素っ裸にさせられていた患者さんの脇で餞別の言葉をかけられるなんて何とも言えないシュールな光景でしたが、私たちを見つめる患者さんの目が心なしか温かい気がして、そのせいか、いつも「繋いでもらっている」のは私たちの方なのかもしれないと思ったのです。
そんな風にして繋ぎ繋がれる医療の現場。
このヒューマンスクランブル感はどの国でも変わらないのだろうと思うけれど、違う文化圏でそれを体験したいと思って渡米を目指してきたこの数年間。この間の苦労については今まで愚痴交じりに語ってきたので、皆さんもよくご存じのことと思います笑 こんな形でお伝えすることになるとは思っていませんでしたが、実は、バンタンも訪れたことのある場所から車で2時間ぐらいの小さな街で1から頑張ります。
大好きな彼らの新曲のリリースと時同じくして自分自身もネクストチャプターに向かっていくことになるなんて、本当に感慨深くて、当直明けの電車で彼らのMVを見ながら胸が熱くなったのですが、彼らからしてみれば、兵役前に7人が揃う最後のタイミングでパンデミックが落ち着き、よりにもよってベガスでライブをすることになり、よりにもよってそこに広大な砂漠があったわけで。すべては偶然じゃなくて必然的に計画されたものだったのかもしれないけれど、彼らはきっと異国の地を踏みながらも原点回帰を促されていると思わずにはいられなかっただろうし、過去と未来と現実と夢とか全部ごちゃまぜになったような「今」が詰まったMVなのだろうと思います。
みんないつからか言うんだ
僕たちが最高だと
どれもよくわからない呼び名
今はただ重いだけ
歌が好きだった
ただ走るだけだった
だからこれからも頑張るって約束するよ
君の心の奥底 どこかに
昔のままの少年がいる
Moment is yet to come
それはよくも悪くもファンの期待を裏切らないエピローグだったと思うし、数々の自己オマージュについてはマスメディアでも触れられているので、ここでは繰り返しませんが、バラを手にする初っ端のテテの歌詞を聞いて思い出したのはロミオとジュリエットに出てくるシェイクスピアの言葉。
"A rose by another name would smell just as sweet"
バラという花を別の呼び名で呼んでみても甘い香りはそのまま
アイドル、アーティスト、アジア初、世界新記録、グラミーノミニー、国連スポークスマン、ホワイトハウスゲスト… どんなにいろんな名前や肩書を与えられても、自分は自分であると。それは変わらない譲れない事実で。
まだ学ぶものが多くて
僕の人生 満たすべきものが多い
その理由?
僕の心臓が言うんだ
僕たちには関係ないって この世界の期待
僕たちには関係ない 最高という基準のステップ
これだって関係ない 王冠と花 数多くのトロフィー
夢と希望と前進というなら 僕たちのモットーそのもの
長い長い円を周り 結局また同じ場所
振り出しに戻ったね
そして何より、砂漠にバラと言えば「星の王子様」ですよね。ジミンのSerendipityやジンのMoonなどでもモチーフにされてきたと言われていますが、韓国ドラマでも幾度となく引用してきたこの名作、私が今、この文脈で思い出すセリフはこれです。
"It is the time you have wasted for your rose that makes your rose so important"
バラのために費やした時間こそがバラを特別な存在にするのである
これは、惑星B612出身の王子が、地球に降り立ち、咲き誇る大量のバラを目にしてもなお、自分のバラは特別だと再認識する場面での言葉ですが、BTSの7人だって、最初からお互いにとってかけがえのない存在だったわけじゃない。共に生活し、その中で笑いもあれば時に衝突もし、それでも諦めずに同じ夢を追って試練を乗り越え、その過程で何よりも互いのために多くの時間を割いてきた。たくさんの失敗を共有し、許し合ってきましたね。
彼らはよく互いのことをハンサムで才能に溢れる人格的に立派で魅力的な人間だと褒め合うけれど、何もそれだからお互いに特別だというわけじゃないだろうと思うし、我々が彼らの友情に胸を打たれるのだって、彼らが不器用ながらも互いを理解しようとして励まし支え合う一生懸命な姿に、かつて一生懸命だった自分を思い出すからだと思うのです。
傷つけられることに怯えず、人に対してまっすぐだったあの頃の自分。好きなものを好きだと信じきって疑わなかったあの頃の自分。
そんな懐かしい姿がよみがえるからこそ、「昔と何も変わっていない」と歌う彼らの白くまっさらで素朴な姿が一層愛おしく感じられるのだと思うし、彼ら自身も今後くじけそうになったらこの楽曲を聴くんだろうなと思います。
自分の中に残っている「夢見る少年」を思い出すために。
大きな期待と欲はあっても、決して多くは望んでいなかったあの頃の自分に戻るために。
迷ったときはそんな昔の自分が勇気を与えてくれることと思うし、どんどん変わっていく中でも、変わらずにここに残るものは確かにあって、そんな初心を忘れずに謙虚に生きられたら、どんな時も「最高の瞬間」はまだこれからだと思うから。
絶対に空に触れるんだ 死ぬその日の前に
Moment is yet to come
さあ 今からが始まりだ
The best yet to come
眩しく通り過ぎていった記憶の中で とても美しく
そう 昨日までの僕たちは確かに最高だった
だけどこれからの僕がベストだから
朝まで歌おう
あの日に向かって
もっと僕たちらしく
君と僕 最高の瞬間はまだこれからだから
最後までお付き合いくださってありがとうございました♡
"All grown-ups were once children... but only few of them remember it"
どんな大人もかつては子供だったんだ… でもわずかな人間しかそれを覚えていないんだ
ー Antoine de Saint-Exupéry, The Little Prince
PS 次の記事はプライベートの吐露(個人が特定されるリスク)につきアメ限にしますがいつも以上に完全TMIなので悪しからず