お立ち寄り頂きありがとうございます♡

いいね、フォロー、メッセージ、コメントもありがとうございます。

いつもコメントやメッセージを下さる方はもちろんのこと、久しぶりの方にコメントを頂いたり、過去の記事に対するいいねやコメントを頂いたりするのは本当にうれしいことで、丁寧にお返事したいと思っているうちに、どんどん遅くなってしまっている失礼をお許しください…。

 

 

今更感が否めないのですが、今回はホワイトハウス訪問に際して抱いた感想を残しておきたいと思います。

 

マラソン
人生は長いから のんびりしな
42.195km
その果てには夢の楽園がいっぱいだ
だけど本当に世界は
約束とは違うんだ
僕らは走らないといけない
他人を踏みつけていかないといけない
曳光弾を打てば
君は目的地もなく
何の風景もなく
息が苦しくなった時
君は
止まったって大丈夫
理由もわからないまま走り続ける必要はないんだ
夢がなくても大丈夫
少し幸せを感じる瞬間があるのなら
止まったって大丈夫
もう目的も分からないまま走ったりはしない

 

バイデン大統領、BTSの影響力に敬意「すべての人々に善良なこと」ホワイトハウスでアジア系ヘイト根絶のため会談 - モデルプレス

 

差別ってきっとなくならないですよね。

だって誰かをなんだか好きになれない、そんな気持ち、誰にでもあるはずだから。好きになれない理由が、個人の性質ではなく属性にかかわる場合を「差別」と呼ぶんだろうけれど、誰かを好きになれないときなんて、どんな理由であろうと好きになれないんだからしょうがないですよね。

 

それを露骨に態度に出したり、差別的な言動をすることは非難に値するし、トランプ政権下でそれが肯定されてしまったのは大きな問題だけれど、差別的な気持ちは時代にかかわらずきっと誰にでもある。

 

ただそれを認めてしまったら身も蓋もないし、差別的な言動に反対だという姿勢を示すことは、バイデン大統領が言っていた通り、重要なことであり、今世界で一番ホットなボーイズバンドがそれを主張することにも大きな意味がある。多国籍なファンに支持されているアジア人アイドルならなおさら。

 

ホワイトハウスに呼ばれるアジア人アイドルなんて今までもこれからも彼らだけかもしれないし、ユンギが国連スピーチの時に言っていたところの「スピーカー」としての力を買われたのは素晴らしいことですよね。

 

でも正直、私はとても冷めた気持ちで見ていました。ARMYを構成する有色人種の若者を支持者として取り込みたい大統領が、「差別される可哀そうなアジア人」の代表としてBTSをホワイトハウスに招待したのは屈辱的だったし、COVID19 Hate Crime Actに言及したナムジュンがわざわざお礼を言わされていることにもうんざりしました。差別返しするつもりはありませんが、大統領の物言いには白人特有の上から目線が詰まっていたというのが私のごくごく個人的な捻くれた感想です。

 

同じアジア人の大統領だったら、ナムジュンはあの場面で法案への賛辞は述べても、果たしてお礼を言うという形になっただろうか…。

 

今アメリカで起きているアジアンヘイトの歴史的背景については私も知らないことばかりなのですが、1960年代にアジア人移民に国境を開いたアメリカが、専門技術を身に着けた多くの高学歴アジア人を受け入れたことで、アメリカ社会で当然のごとく成功していったアジア人たちがいたわけで、そんな成功事例を白人は「モデルマイノリティー」と呼び、黒人やラティーノが成功できないのはアジア人のように従順かつ勤勉でないためであり、白人中心の社会システムに問題があるわけではないと主張するために長年アジア人を利用してきた経緯があると言います。

 

1980年代には日本の自動車会社がアメリカのそれを経営破綻に追い込み、その結果、職を失った白人が、アジア人を逆恨みして中国人を殺害する事件まで起き、それをきっかけにアジア人と黒人とが協力して差別と闘った時期もありました。

 

それでも、和を大事にするアジア文化の中で育ったアジア人移民が、その日を生き延びるために、声をあげられずに白人のやり方に迎合してきた一面もあって、ジョージフロイドが白人警官に殺された時もアジア人警官の傍観する姿が物議を醸したことは記憶に新しいですよね。

 

つまりは、アジア人自身の思想の中にもまた、その他の有色人種への差別意識があったことは否定できないのだけれど、そんな風に自分たちが差別している事実にも、自分たち自身が差別されている事実にも目をつぶり続け、対話を避けてきた背景がある。実際、音楽にしても黒人が差別について歌った曲はたくさんあっても、アジア人のそういった楽曲はなかなかない…  なんていうことはナムジュンならもちろん知っているだろうし、いろんな勉強をした上であの場に臨んだことと思います。

 

だから、あれはお礼を「言わされた」のではなく、いろんな気持ちが込められた純粋なお礼だったのかもしれません。それに、そうじゃなかったとしても、BTSが「被害者としてのアジア人」の代表であるとの立場を利用したのは何もアメリカ側だけではなかったはず。韓国政界の思惑は言及するまでもありませんが、BTS自身にとってもこれは好都合なシナリオなわけで。

 

要するに、弱者の代弁者として人気を博してきたバンタンが、今ファーストクラスで世界を飛び回り、ボディーガードに守られながら、なお「弱者の代弁者」であり続けられるシナリオがあるとしたら、それは「アジア人」としてのアイデンティティーを利用したシナリオだから。白人と肩を並べてグラミーの舞台に上がってもなお、そこには差別があって、僕らは多国籍ARMYと共に差別と戦っている、というメッセージにはそれなりの美しさがある。

 

たしかに、彼らは幼少期から構造化された差別の中に生きた経験もなければ、それが人格に染み付いてしまう哀しさも、道を歩いていて背後から撃たれる恐怖も経験したことはないだろうし、何か褒められるときに「さすがアジア人だな」と言われて少しムカついたことはあっても、「母国」に帰る選択肢がない人の辛さはわからないし、何年何世代に渡ってアメリカで生きていてもなお外国人扱いされる屈辱も、彼らは知らない。

 

でもBTSは世界の音楽シーンに進出していく中で確かに「アジア人」としての差別を経験してきたし、日本でだって「韓国人」として差別を受け、そもそも「~人」なんていう括りとは関係ない嫌がらせだってたくさん経験してきたことは事実であり、それでもめげない彼らに勇気付けられてきたファンがたくさんいることも事実なわけで。

 

これまで自分のことでは声をあげることさえできなかった慎ましやかなアジア人たちが、どこからともなく現れた韓国人の青年たちを通して初めて声を見つけたのかもしれない。とすれば、世界中のアジア人に限らず、世界中のマイノリティが彼らに希望を託しているわけで。

 

だから、彼らのような立場にあって今回のインビテーションを断れるアイドルなんか古今東西いないと思います。招待されてしまった以上、アメリカのためにも、韓国のためにも、差別に苦しむ数えきれない人たちのためにも行くべきだっただろうし、結局のところはBTS自身だってさらに箔がついて、今後の音楽活動にも良い風が吹くかもしれません。

 

でもネクストチャプターがこれでは哀しすぎる。BTSはBTSであって、もはや「差別される可哀そうなアジア人」代表ではないと主張してくれてこそ、世界中のARMYは本当の意味で、自分たちの足で立ちあがろうという気持ちになるのではなかろうか。差別なんかを言い訳にせずに。

 

City of New York on Twitter: "Look out for each other and protect one  another. It takes all of us to #StopAsianHate and keep our fellow New  Yorkers safe. https://t.co/uSCXAkLvZC" / Twitter

 

今この瞬間、BTS、殊にナムジュンが英語で発する言葉以上に影響力のある言葉がないことは、今回アメリカ大統領も認めたところなわけで、でもその一方で、ナムジュン自身がその言葉の力にも内容にもイマイチ納得していないように感じられるのは何故だろう。昨日のジミンのWeverseでのメッセージにしても、何だか、私が専門外の患者さんを診る羽目になって遠慮してしまう時のようなニュアンスを感じてしまいました。比較するのも烏滸がましいのだけれど。

 

とにもかくにも、マイノリティーの声になるために、彼らが自らの声を失うことがないといいなぁと感じてしまう今日この頃、ナムジュンにかけたい言葉があるとすれば、2018年のユニセフスピーチで彼自身が私たちにかけてくれた言葉以外にないと思います。

 

What is your name?

Speak yourself.

 

それでこそ、差別撲滅に一歩近づけるはずだから。

 

 

僕たちは他人から夢を借りる

(借金みたいに)
偉大にならなきゃいけないと学び

(光のように)
君の夢 実際には重荷
未来だけが夢なら
僕が昨日の夜ベッドで見たのはなんだ?
夢の名前が違っても大丈夫
来月ノートパソコンを買うこと
あるいはただ食べて寝ること
何もせずにお金持ちになること
夢だなんて大袈裟なんだよ
何にでもなれるんだ
僕らはこの世で生きるにふさわしい
どんなに大きくても小さくても
君は君だろ

(Paradise 2018)

 

 

最後までお付き合い下さりありがとうございました♡

*因みに、タイトルが誤解を招いたかもしれないので言っておくと、ホワイトハウスが白いことに人種差別的な意味合いはまったくありません。単に強度を追求した結果、素材が白くなったという事情のようです*