『台湾の言語と文字』,菅野敦志,2012.2.15

戦後台湾から民主化までの言語・文字政策を述べている。主に次の三点についての解説と考察。

戦後台湾の言語政策の方針についての考察。とりわけ1945年〜60年代が詳しい。

台湾語の文字・表音符号の考察。

民主化に至るまでの変化についての考察と課題について。

 

次の点が興味深かった。

・戦後短い期間であったが国語普及のために台湾語の活用があったが,あくまで過渡期の対応であった。

・簡体字への取り組み。漢字の簡略化の必要性はあったがローマ字による表音化は拒否。結果的に失敗。

・戒厳令解除・民主化に伴う言語政策の変化。TV番組での台湾語の位置付けと変化。台湾の中国化から本土化へ。

 

先に紹介した『台湾語の文字の社会言語学』,吉田真悟,2023.1.31は台湾語の漢字・ローマ字について多くを述べている反面台湾語の歴史的状況解説はやや概略的な傾向があった。本書を合わせて読むことで台湾語の歴史・文字化について多角的に理解できると思う。

 

(情報追加)2024/03/12

日本台湾学会 台湾における「簡体字論争」 菅野敦志

http://jats.gr.jp/cp-bin/wordpress5/wp-content/uploads/journal/gakkaiho006_05.pdf