タイの麺料理は、小麦で作った麺と米の麺に大別される。
そして、バリエーションとしては、米の一大産地であるタイは、米の麺のバリエーションが豊富である。
米の麺は、麺の太さを変える事で、食感が変わる。
麺は、細い順からセンミー、カノムチン、センレック、センヤーイ、シーユと太さを増して行く。
同じスープでも、麺が変わるだけで、別の料理に感じるから不思議なものである。
小麦の麺の方は、バーミーと言う卵麺が主流で、色が黄色がキツイのと、白っぽいのに大別される。
バーミー2種。上は、中国人の友人ヤン君のおすすめのバーミーだったが、スープに砂糖が沢山使ってあるのか、自分には甘すぎた。下は、クリアスープのバーミー、魚のつみれは自家製で、スープもあっさりしていて、自分のお気に入りの一つ。
チェンマイ名物のカオソーイと言う、日本で言うカレーラーメンの麺は、黄色のキツイ色の麺料理で、細い麺よりも、やや平打ちの麺を使っている所が多い。
カオソーイ。スープの上に見えるのは、トッピングのフライ麺。スープの中に平打ち麺が隠れている。
タイ🇹🇭では、日本🇯🇵のうどんのように、麺のコシと言う事に関してはあまり問題にならないようで、コシのある麺よりもどちらかと言うとコシのない麺が使われている。
コシのある麺は、北タイでは、唯一、世界遺産で有名なスコータイの麺がコシがあり、スコータイヌードルとして有名である。
つまり、タイでは、麺料理と言っても、麺自体へのこだわりは少なく、従って、自家製麺を扱っている店は、ある事にはあるが、少ない。
麺は、他所で作られたものを買っている店が多い。
日本🇯🇵なら、麺のゆがき方一つ、麺の振り方一つでも、こだわりのある店なら10秒と言わないまでも30秒違ったら、一昔前の店なら、店主が従業員に罵声を浴びせたり、時には鉄拳制裁なんて言うのもあった。
もっとも、そんな店の方が確かに味は良かったと思う。
今は、チェーン店などでは、誰が作っても同じ味になるように、完全にマニュアル化されている。
マニュアル化された店の麺料理も、美味しい店は美味しいのだけれど、こだわり親父のいる店の味を超えるのは難しいかも知れない。
日本で昔、よく行ったうどん屋の親父は、小麦粉の状態、その日の気温、湿度などから、微妙に打ち方を変えると言っていた。
そうなって来ると、職人の勘の世界で、マニュアル化するのは難しい。
うどんの粉の状態?
そんなもんあるんけ?となるが、これが蕎麦になると、粉の違いは顕著に現れる。
その親父は、蕎麦粉を買いに大阪から信州まで出かけたが、いい蕎麦粉が無かった、と言って手ぶらで帰って来た。しかも、途中で、十割蕎麦の看板を出していた店の店主と喧嘩までして帰って来た。
「この時期の蕎麦で、蕎麦粉十割で粉はくっつかない。小麦粉を繋ぎで入れてる癖に、十割なんて、客を騙すんじゃねえ。」と。
親父の打つ、うどんや蕎麦は、格別だった。
「わしは、美味いもん作って、客に喜んでもらいたいんや。不味いもん作って、金だけ貰おうなんて考えた事ないんや。」と言っていた。
値段は、安くはないけど、こだわりの店。常連客も、一癖も二癖もある人達だった。
話をタイ🇹🇭に戻そう。
タイでは、麺に対するこだわりよりも、店と店の差は、ズバリ言うと、スープの差である。
昔、日テレの番組で、『雷波少年』と言う番組があった。
その中の企画の一つに、『麺ロードの旅』と言うのがあった。
売れない二人組の芸人が究極の麺を求めて、イタリアからユーラシア大陸を横断して旅をする、と言う番組だった。
その二人が、チェンマイ名物のカオソーイ屋で修行をしていた時に、自分は、何故か番組に出演する事になった。
ディレクターのOさんが面白い人で、意気投合して、番組のロケ関係無しに、酒を飲み交わした。
その中で、Oさんから、カオソーイの事について、色々教えてもらった。
その番組のロケ現場のカオソーイ屋さんは、有名店で、今も通称カオソーイ通りと言われているピン川の東にある。
店主のおばさんは、カオソーイの屋台から始め、店を大きくして行った。
他店との違いは、スープ。
そのスープのレシピは、たとえ従業員でさえも教えない、と言う事だった。
教えてしまうと、店を辞められ、盗んだレシピを基に店を始められたら、客を取られるから、だそうだ。
今から20年以上前の事だから、変わったかも知れないけれど、否、基本は変わらないかな。
スープが命、と言うのは、タイの麺料理界では、鉄則である。
自分は、30年以上付き合いのある麺料理屋さんが、チェンマイにある。
その店の主人は、女性。
市内のチャンプアックス門の堀の内側と、ルアンチョークショッピングモールの北側に店がある。
働いているのは、タイヤイ族の人が多い。
タイヤイ族には、タイヤイヌードルと言う、モチモチした麺料理があるのだが、その店は、タイの麺料理、クォエティオとバーミーが主である。
スープは、ナームサーイと言うクリアスープ。
魚のつみれが独特で、小さなつみれ(フィッシュボール)が、乳首に似ている事から、乳首ラーメン、クォエティオ ルークチン ホアノムと呼ばれている。
自分にとっての、タイの麺料理の基本は、その店の味である。
どうも、他店のスープの味では、物足りないのである。
その店は、豚骨スープも有名で、このスープの濃厚な味も絶妙な味である。
日本🇯🇵で、創作日本料理のオーナーシェフだった友人も、そのスープにハマり、チェンマイ滞在中、毎日来ていた。
自分も、毎日食べても飽きない、自分にとってのおふくろの味と言ったものである。
コロナ禍の今、自分の住んでいるエリアへ、その店のデリバリーサービスは無いので、直接、店に行って注文をして、テイクアウトしている。
自分の場合は、お腹が減ってる時に、麺料理を食べ出したら止まらないので、店の麺の量では足らない。
だから、自分で、うどんや蕎麦、ソーメン、きしめんなどの麺を湯がいて替え玉にして食べている。
今までの所、その店のスープに、自分の中で一番相性の良かったのは、乾麺のうどんであった。
このスープに、手打ちうどんを放り込んだらどうなるか、自分でうどんを打って試してやろうと、強力粉と薄力粉を買って来たが、その調合具合と塩、水の量を習ったけど忘れてしまったので、そのプロジェクト?は、現在中断中である。
作ったうどん玉を削って、刀削麺にして食べるのもありかな、と夢は膨らむ。
乳首ラーメンアレンジ。うどん替え玉編。
そして、究極のアレンジは、麺を食べた後に、白米を放り込むと言う荒技もある。(ここまで行ったら、中々のB級グルメであるが。)
自分は、乳首ラーメン、乳首ラーメンと呼んでいたが、実は、その店の正式名称を知らなかった。
それが、昨日判明した。
以前、市内のコンドミニアムに住んでいた会長が、デリバリーサービスで、乳首ラーメンを時々注文していたのである。
店の名前は、Ong Tiparos2
この2は、市内チャンプアック門の所にあるのが1で、今、自分がよく行くのが2と言う事である。
何故か、デリバリーサービスのメニューとなって写真になると、自分の知っている乳首ラーメンとは違って見えるのが不思議である。
乳首ラーメンがかしこまって、よそよそしく見える。
メニューのヌードルスープとポークボーンスープが売れ筋と言う事であるが、その二つが、30年来の店の看板料理である。
チェンマイに来られたら、一度お試しあれ。
この動画は1号店。店長は、2合店の息子さん。自分が酒が飲めた時、何度か一緒に飲みに行った事がある。