フィリピン支援に1兆円? | 「何時か見た青い空」 フィリピンへの誘い

「何時か見た青い空」 フィリピンへの誘い

青い空と青い海に囲まれて、今なお残るスペイン統治の面影。この国に旅してみたい、住んでみたいという方の参考になればと思います

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ドゥテルテ大統領私邸の寝室に通された安倍首相、蚊帳も見えるところが南国らしい
 

安倍首相が12日から2日間フィリピンを訪問した。

「安倍晋三首相は12日から訪問するフィリピンでドゥテルテ大統領と会談し、包括的な経済協力のため、政府開発援助(ODA)や民間投資をあわせて今後5年間で1兆円規模を支援することを表明する。地下鉄などのほか、地方都市への電力供給インフラの整備などを想定し、日本が官民を挙げて協力する。フィリピンへ接近する中国をけん制する狙いもある」(日本経済新聞電子版)
 
マスコミの「1兆円」という金額が独り歩きしている。
こういう記事が出ると、必ず、「国民一人当たり7,700円、そんな金があれば、税金を安くしろ!」という声が聞こえてくる。
このブログの読者でも、真顔でそう思っている方もいるかもしれない。
 
1兆円といっても、それをポイッとフィリピンにあげるわけではない
全体の内、民間投資は、あくまでも企業の自己責任でリターンを期待して投資するわけだし、政府負担分も大半は円借款という貸付で、いずれは返済してもらうファンドである。
私が調べた限り、無償援助に該当するのは、比湾岸警備隊(PCG)にテロ対策として供与する高速艇(6億円)や、海上保安庁とPCGの共同演習、道路情報システムの検証など、しれている。
 
 
フィリピン政府の借り入れ状況を見てみよう。
20169月現在の政府債務残高は766億ドル(約88千億円)。
その内、131億ドルが日本からの借り入れ、58億ドルは日本が影響力を持つアジア開発銀行からの融資残高となっている。
フィリピン国債の発行残高は224億ドル。
国債部分を除けば、約3分の1は何らかの形で日本がかかわるものであり、日本がいかにフィリピン経済にとって重要な役割を果たしているかがわかる。
 
日本政府からの借入残高は、2010年の170億ドルをピークに、減少している。
そういう意味では、今回の貸付を銀行的に言えば、「借金返済もちゃんと履行しているので、少し、補充しましょう」という事になる。
円借款には、無利子と有利子があり、有利子の場合、フィリピンは「中所得国」に分類されているので、償還期限25年、年利1.4%というのが基準になる。
今回の支援でいえば、ミンダナオ島西部の農業支援基金(49.2億円)などがこれに該当する。
資金調達コストの安い(マイナス金利)日本にとって、負担が大きいわけではない。
こうしてみてくると、決してタダでお金をばらまいているわけではないことが分かる。
 
日本の原資といえば、過去の中国などへの円借款が返済されているので、それを充当する。
フィリピンとしては、日本が融資をしなければ、中国主導のアジアインフラ投資銀行から融資を受けるだけの話である。
どちらが日本の国益にかなうかは自明の理である。

 
それにしても安倍さん、外国首脳の寝室など見るのは初めての経験ではないだろうか?にひひ
 
 
(注):フィリピン債務に関する数字はフィリピン中央銀行データーより。