というわけで、いきなり今回は番外編で香港なのだ。香港に夏に行く機会があったので、これ幸いと食べ歩いてやれと思っていたんだけど、どうも仕事が忙しくてあまりそういうわけにもいかなくて、ホテルから歩いていけるような近場で、何回か一人で食事をすることになった。
ところが、まったく下調べしないで旅行していたから、どこに行けばいいか皆目見当がつかない。そこで、仕事先の地元の人に徒歩でいけるおすすめの店を教えてもらった。
いくつか挙げてくれたお店の名前のなかに煲仔飯(ボーチャイハン)の専門店があったので、迷わずそこに決定する。煲仔飯は広東の名物料理、僕はこれが大好きなんだよね。でもロサンゼルスではおいしいのにあたったことがないんだよ。香港の煲仔飯はきっとおいしいんだろうなあ、と期待でもうよだれがたれてきそうになる。
さて、ランチの時間を少しはずしてお店に向かった。僕の滞在しているホテルは上環にあって、周りは乾物ストリート、っていうか、たくさんの乾物屋がある。店先にはネコなんかいたりして。ネコは乾物は食べないのかな。

目指すお店の名前は、「坤記煲仔小菜」。ここの煲仔飯は香港人に大人気とのこと。煲仔飯は冬の名物料理なんだけど、ここでは一年中出しているらしい。お店はホテルからすぐ近く、歩いて一分だった。
しかし、店に入って座ってメニューを開くと、いきなり予想もしない展開。煲仔飯がない!あわてて壁を見渡すけど、どこにも煲仔飯の名前はみあたらない。やっぱり夏はやってないのか?
とてもがっくりしたんだけど、実はこれが結果的にはよかった。仕方なく気がのらずにつらつらとメニューを眺めていると、広東の家庭料理、咸魚蒸肉餅に目がとまる。
僕はこれにも目がないのだ。
咸魚(鹹魚)ってのは魚を塩漬けにして発酵させたやつである。邸永漢の説明を借りると、
「広東風の塩魚は曹白魚と呼ぶ長さ五十センチぐらいの魚を臓物も出さずに丸のまま塩漬けにする。塩を充分きかせていても、臓物は腐敗をまぬかれえず、それが魚肉にまで伝染して、たんぱく質が分解しはじめる。この発酵臭は鼻をつまみたくなるものであるが、慣れてくると一種形容しがたい芳香になる...」
食は広州に在り、p.42-43
どうにもうまいようには聞こえないけど、これがうまいんだな。邸さんは「ふつうの日本人で、これを一口かんで吐き出さないものは少ないと思う」っていってるけど、そんなことはないよ。これはよくチャーハンなんかにもいれたりするけど(ハムユイチャーハン)、なんといってもこの豚肉と蒸したやつが最高なのだ。
広東語も北京語もしゃべれないので、これこれと咸魚蒸肉餅を指差して注文。しばらくすると、まず頼んでもないのにスープがでて来た。何の変哲もない、でも肉と骨と根菜をじっくりと時間をかけて煮込んだ、素朴でじわっと体に染み入るスープだ。庶民的なお店にいくと、よくこの手のスープが前菜みたいにしてでてくるんだよね。

そして、咸魚蒸肉餅。これ、これですよ。豚肉を細かく切ってたたいたやつ(家で手抜くときはできあいの豚挽)に咸魚をのっけて蒸した料理。こくのある中国の醤油(生抽)で味付けしてある。

この料理は、見た目はそれほど良くないんだよね。もし「見た目より実際は全然おいしい料理ベスト10」のリストを考えるとしたら、そのうちの一つはこれだと思う。
そしてこれにかかせないのが白い飯!

うまみのきいた醤油味のせいで、ごはんがいくらでも進む。これは「ご飯と一番あうおかずベスト10」のリストを作っても入ってくるな。
もちろん、このうまみの中心は咸魚だ。これが咸魚のアップ。

料理する前はあれほど臭いのに、料理するとこんなにも食欲をそそる芳香を放つのが不思議だね。
ここは煲仔飯が売りらしいけど、これは本当にうまかった。あっという間に平らげてしまう。今まで食べた咸魚蒸肉餅のなかでもベストだよ。
さて、仕事を済ませると、もう夜ご飯の時間になっている。実は坤記煲仔小菜は夜にだけ煲仔飯を出しているという情報をそれまでに仕入れていたので、今回は昼間のリベンジとしゃれこむことにした。さらに、昼に行ったのは支店だったらしいので、今度は少し離れたーそれでも5分くらいなんだけどー本店に歩いていくことにした。

冬は季節柄待つらしいが、このときは夏だったからかスペースがあった。僕は店の外にでているテーブルをゲットして、そこで青島ビールを飲みながら煲仔飯が炊けるのを待つことにした。

ビールは、大瓶なんだよね。
そして、大瓶が空になるころ、鶏肉とソーセージの煲仔飯(臘腸滑雞煲仔飯)到着。

ほくほくと湯気が立っていて、炊きたてという感じ。中国菜がいろどりを添えて、おいしそー。

甘めの中国醤油のたれがついてくるので、それを上からまわしかけて、じゅー、なんていっているところを容赦なくわしわしと食べていく。うまい、うまい。
実は煲仔飯の主役はおいしいご飯だったりするのだが、この最後にでてくるおこげがいいんだな。ぱりぱり、ぱりぱり。

いやー、うまかった。目標を達成できて満足、満足。でも、比べてみると予定外の咸魚蒸肉餅のほうに軍配が上がるかもしれない。どちらもおいしかったけどね。香港の町のふつうのごはんの底力を思い知った一日だったな。
よって今回の評価はどちらも
香港番外編、もう一回だけ続きます......
ところが、まったく下調べしないで旅行していたから、どこに行けばいいか皆目見当がつかない。そこで、仕事先の地元の人に徒歩でいけるおすすめの店を教えてもらった。
いくつか挙げてくれたお店の名前のなかに煲仔飯(ボーチャイハン)の専門店があったので、迷わずそこに決定する。煲仔飯は広東の名物料理、僕はこれが大好きなんだよね。でもロサンゼルスではおいしいのにあたったことがないんだよ。香港の煲仔飯はきっとおいしいんだろうなあ、と期待でもうよだれがたれてきそうになる。
さて、ランチの時間を少しはずしてお店に向かった。僕の滞在しているホテルは上環にあって、周りは乾物ストリート、っていうか、たくさんの乾物屋がある。店先にはネコなんかいたりして。ネコは乾物は食べないのかな。

目指すお店の名前は、「坤記煲仔小菜」。ここの煲仔飯は香港人に大人気とのこと。煲仔飯は冬の名物料理なんだけど、ここでは一年中出しているらしい。お店はホテルからすぐ近く、歩いて一分だった。
しかし、店に入って座ってメニューを開くと、いきなり予想もしない展開。煲仔飯がない!あわてて壁を見渡すけど、どこにも煲仔飯の名前はみあたらない。やっぱり夏はやってないのか?
とてもがっくりしたんだけど、実はこれが結果的にはよかった。仕方なく気がのらずにつらつらとメニューを眺めていると、広東の家庭料理、咸魚蒸肉餅に目がとまる。
僕はこれにも目がないのだ。
咸魚(鹹魚)ってのは魚を塩漬けにして発酵させたやつである。邸永漢の説明を借りると、
「広東風の塩魚は曹白魚と呼ぶ長さ五十センチぐらいの魚を臓物も出さずに丸のまま塩漬けにする。塩を充分きかせていても、臓物は腐敗をまぬかれえず、それが魚肉にまで伝染して、たんぱく質が分解しはじめる。この発酵臭は鼻をつまみたくなるものであるが、慣れてくると一種形容しがたい芳香になる...」
食は広州に在り、p.42-43
どうにもうまいようには聞こえないけど、これがうまいんだな。邸さんは「ふつうの日本人で、これを一口かんで吐き出さないものは少ないと思う」っていってるけど、そんなことはないよ。これはよくチャーハンなんかにもいれたりするけど(ハムユイチャーハン)、なんといってもこの豚肉と蒸したやつが最高なのだ。
広東語も北京語もしゃべれないので、これこれと咸魚蒸肉餅を指差して注文。しばらくすると、まず頼んでもないのにスープがでて来た。何の変哲もない、でも肉と骨と根菜をじっくりと時間をかけて煮込んだ、素朴でじわっと体に染み入るスープだ。庶民的なお店にいくと、よくこの手のスープが前菜みたいにしてでてくるんだよね。

そして、咸魚蒸肉餅。これ、これですよ。豚肉を細かく切ってたたいたやつ(家で手抜くときはできあいの豚挽)に咸魚をのっけて蒸した料理。こくのある中国の醤油(生抽)で味付けしてある。

この料理は、見た目はそれほど良くないんだよね。もし「見た目より実際は全然おいしい料理ベスト10」のリストを考えるとしたら、そのうちの一つはこれだと思う。
そしてこれにかかせないのが白い飯!

うまみのきいた醤油味のせいで、ごはんがいくらでも進む。これは「ご飯と一番あうおかずベスト10」のリストを作っても入ってくるな。
もちろん、このうまみの中心は咸魚だ。これが咸魚のアップ。

料理する前はあれほど臭いのに、料理するとこんなにも食欲をそそる芳香を放つのが不思議だね。
ここは煲仔飯が売りらしいけど、これは本当にうまかった。あっという間に平らげてしまう。今まで食べた咸魚蒸肉餅のなかでもベストだよ。
さて、仕事を済ませると、もう夜ご飯の時間になっている。実は坤記煲仔小菜は夜にだけ煲仔飯を出しているという情報をそれまでに仕入れていたので、今回は昼間のリベンジとしゃれこむことにした。さらに、昼に行ったのは支店だったらしいので、今度は少し離れたーそれでも5分くらいなんだけどー本店に歩いていくことにした。

冬は季節柄待つらしいが、このときは夏だったからかスペースがあった。僕は店の外にでているテーブルをゲットして、そこで青島ビールを飲みながら煲仔飯が炊けるのを待つことにした。

ビールは、大瓶なんだよね。
そして、大瓶が空になるころ、鶏肉とソーセージの煲仔飯(臘腸滑雞煲仔飯)到着。

ほくほくと湯気が立っていて、炊きたてという感じ。中国菜がいろどりを添えて、おいしそー。

甘めの中国醤油のたれがついてくるので、それを上からまわしかけて、じゅー、なんていっているところを容赦なくわしわしと食べていく。うまい、うまい。
実は煲仔飯の主役はおいしいご飯だったりするのだが、この最後にでてくるおこげがいいんだな。ぱりぱり、ぱりぱり。

いやー、うまかった。目標を達成できて満足、満足。でも、比べてみると予定外の咸魚蒸肉餅のほうに軍配が上がるかもしれない。どちらもおいしかったけどね。香港の町のふつうのごはんの底力を思い知った一日だったな。
よって今回の評価はどちらも
香港番外編、もう一回だけ続きます......