安全配慮義務とは何か
劇団と女性との間では、業務委託契約が結ばれていた。しかし、それは実質的に見れば労働契約であり、劇団にはそれゆえに安全配慮義務が存在した。そして、その安全配慮義務に違反していたのだというのが11月10日に開かれた会見で遺族側の弁護士が主張した主な内容であった。
では、業務委託契約と労働契約とではどのように内容が異なるのでしょうか。まず業務委託契約とは委託者が、自らの業務の一部又は全てを外部に委託する契約形態のことを指します。委託者と受託者の関係性は対等な関係とされます。
ここで重要な点が、仮に業務委託契約を採用したのならば、労働基準法の適用がないということです。
この点が今回の争点です。
次に労働契約とは使用者と労働者の間で交わされる契約形態です。労働契約も業務委託契約と同様に、双方の関係性は対等な関係だと定められています。しかし、実際には使用者と労働者の間では、使用者の立場の方が強いです。そこで、労働者を守るために要となる法律が労働基準法なのです。
法規範潜脱のツールとしての業務委託契約。これまでに解説した点を踏まて使用者目線で考えてみると、使用者にとっては時に酷な労働法「使用者と労働者の関係性を規律する法令の総称」の適用を受けない業務委託契約の方が使用者には魅力的に映るでしょう。
労働法の適用を避けるためにわざわざ業務委託契約を採用しているのではないかという邪推をされてもしかたありません。
今回問題となっている宝塚歌劇団の契約書面の内容をみれば、そこへ明らかに労働契約の特徴である支配従属関係が読み取れると亀井弁護士は主張しています。
業務委託契約では、基本的に言えば法律的に安全配慮義務がないのです「法律上ないだけで、事実上はあります」。しかし、労働契約であれば条文「労働契約法5条」に安全配慮義務について明記されているので適用があります。
安全配慮義務に違反したら?
労働法に安全配慮義務についての規定はありますが、安全配慮義務に違反した場合の罰則規定はありません。そこで、特別法である労働法から普通法である民法に移ります。安全配慮義務は民法における債務不履行に該当します。これを原因として、損害賠償請求が行われることが予想されます。
具体的に、何をすれば安全配慮義務違反となるのか。
長時間労働、ハラスメントの放置、不適切な人員配置などが挙げられます。
今回の問題についてここで学んだことを使い、照らし合わせながら法律的に考えてみてください。
法律的に考えることの根本には、常識的に考えることがあります。