刑法 総則
罪刑法定主義
民法と同様に刑法についても基本原則があります。その一つとして罪刑法定主義があります。これは、どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰が科されるかは、あらかじめ国家が制定する法律により定められていなければならないという決まりです。
法律なければ犯罪なし。法律なければ刑罰なし。
罪刑法定主義の根拠については、二つあります。一つ目は、自由主義的要請です。あらかじめ何をしてはいけないことかを知らなければ、人々は委縮し穏やかに生活を送ることが困難となります。私たちが外国へ旅行する場合、その国でのタブーとなる行為を予習してから出発しますよね。国民の行動の自由を保障するためにも、何が処罰対象であるかを事前に知らせておく必要があります。二つ目は、民主主義的要請です。国民の代表機関である国会で合意がなされることにより民主的な正当性が備わる必要があるため、法律で規定されることが求められるのです。
余談ですが、刑法は民法などの私法とは異なり私人対国家間を規律する法律のため公法に分類されます。
罪刑法定主義からの派生原則
・法律主義 罪刑は法律で定めなければならない 例)慣習× 白地刑罰法規×
・遡及処罰の禁止 行為後の立法により遡って処罰することは許されない 問題となる場面)処罰を事後的に加重など
・類推解釈の禁止 条文の限界を超えるため許されない
・絶対的不定期刑の禁止 法定刑の重さと犯罪の重大性の関係上、法定刑を示さないことは民主的要請に反する
・明確性の原則 刑罰法規が不明確であれば、何をすれば処罰されるか分からないため行動の自由が制限される
・内容の適正性 過度に広範でないこと
・罪刑均衡の原則 憲法上の原則
その他の基本原則
・行為主義 処罰の対象は人の行為 例)内心×
・責任主義 責任なければ刑罰なし
これらの諸原則を俯瞰するとき、刑法の厳格性が理解されるだろうと思います。