ノーベル賞経済学者ジェームズ・J・ヘックマン氏が唱える「幼児教育の投資効果」。

数年前に著書『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)が日本でも話題となったので、ご存知のかたも多いかとニコニコ

 

 

 

「子供が将来成功するかどうかは幼少期の環境の質によって大きく影響を受ける。

子供が成人後に成功するには認知能力(IQや学力)だけでなく非認知能力(意欲・忍耐力・自信・協調性など)も必要であり、この非認知能力は幼少期の環境を充実させることで向上させることができる。

また幼少期におこなう教育支援は成人に対する職業訓練や教育支援と比べて投資効果が高く、よって出身家庭の経済力によって生まれる格差を改善することが可能である」

 

 

 

論拠は、60~70年代にアメリカで実施された「ペリー就学前プロジェクト」や「アベセダリアンプロジェクト」の調査結果。

 


これらは低所得者層家庭の幼いこどもを対象におこなわれたもので、被験者を2つのグループに分け、一定期間教育を施した群と施さなかった群を長期にわたり追跡し、比較するという実験。



結果は、

教育を受けたこどもと受けなかったこどもでは、14歳時点での基礎学力の達成度・高校卒業率、40歳になった時点での収入・持ち家率・犯罪率(の低さ)において、いずれも前者のほうが優れていた。

 というものだった。




「ペリー就学前教育プロジェクト」のほうでは毎日2時間半の授業に加え、週に一度教師が家庭を訪問し、親子双方に指導をおこなったという。

教育内容はこども達の非認知的特質、つまりやる気や自発性を伸ばすことに重点が置かれた。また、集団行動や社会的スキルも教えられた。




個人的には、教師の「親子双方に対する家庭訪問指導」の効果が大きかったのではないかと思う。

この実験の対象となったのは貧困層の家庭なので、親自身に正しい生活習慣や社会的スキルがなかったり、こどもに何をどう教えるべきかわからないといったケースも多かっただろうから、教師の訪問指導はとても役に立ったのではないだろうか。

 


いずれにせよ、「幼児期の環境の質がこどもの将来に大きく影響する」というヘックマン氏の主張に疑問の余地はなさそうだ。




チューリップ チューリップ チューリップ




ところで、「質の良い環境」の定義は何だろう?




上述の実験が示すように、

幼いうちから適切な教育を受け、社会的スキルを学ぶ機会が与えられていること。


それももちろん一つだとは思う。



が、それ以前にまず「家庭がこどもにとって安心して過ごせる場所であること」のほうが先ではないだろうか❓




私が考える「こどもにとって望ましい質の良い家庭環境」とは、

親の愛情を存分に受けていること。

必要充分な世話をしてもらえていること。

ありのままの自分を出せる場所であること。

朗らかで温かい雰囲気であること。

家族が信頼で結ばれていること。



逆に「質の悪い家庭環境」は、

親が子に愛情を示さない、または無関心。

こどもを疎む大人がいること。

常に不機嫌な空気が漂っていること。

緊張感がありリラックスできないこと。

家族のメンバーの間に不和があること。

※もちろん普段は仲良しの家族にも一時的な喧嘩や不和は起こり得るが、それが常態化していること。

大人がこどもの前で非道徳的なふるまいをすること。

等々。




残念ながら実際、上述のような「質の悪い家庭環境」に置かれて心の健全な成長を妨げられているこどもは少なからずいる。

しかし、それが明らかな『虐待』や『ネグレクト』と認識し得るレベルのものでない限りは、第三者が介入することは不可能だ。




よその家のことに口出し・介入することは基本的にタブーである、という空気が社会にあるのと、

また、そもそも上に書いたようなことは「どこからが悪」という判断基準もなければ罰則も存在しない。

だから摘発のしようがない。




しかし実質的には、こどもの心を傷つける・またはこどもが傷つく状況を作り出している親は、社会的罪を犯しているに等しい。

と私は思っている。  




それは例えて言うなら、せっかく作物の種を持っていたのに、きちんと植えて世話をしなかったため無収穫に終わらせるようなものだ。

本来ならばその種は発芽してすくすく育ち、人々に豊かな恵みをもたらしたかもしれないのに。




人間にも同じことが言える。

幼少時から良質な環境ですくすく育ち、高い認知能力&非認知能力をもった人間が増えることは、すなわち社会全体の利益に繋がる。


そして逆のケースは、社会に損失をもたらす。








ちょっと長くなってきたのでいったん投稿~ニコ