かなり前になるが、とある年配の男性ベテラン先生が小学生の不登校について語っておられた中で、印象深い言葉があった。

「大人とこどもでは時間の過ぎる速さ・濃さの感覚が違います。大人の一週間はあっという間に過ぎますが、こどもにとっては大人の一ヶ月分くらいの長さに感じます。大人なら、苦痛な環境でも一週間ならなんとか気持ちを殺してやり過ごせなくはないが、こどもにとってはそのしんどさは何倍にも感じられると思っておいたほうがいいです。」

 

 

確かに、小学生の頃の夏休みはとても長かった。年齢が低いほど毎日の出来事が新鮮に感じられ、一日の朝から夜までの間だけでも新しい発見や学びがあるからだろう。

 

 

 

ある家庭の中で、家族の関係がどうしようもなく悪く、誰にとっても家の中が安らげる場所ではなくなってしまったとしても、現実的には「家族の解消=別居、離婚」はよほど決定的なきっかけでもない限り、なかなかハードルが高いことだろうと思う。

 

 

大人のほうは様々なストレス発散を試みながら、気持ちをごまかしながら何とか一日一日を過ごし、やがてこどもが育ち上がり自立した時に自然な流れで家族が別れられる日を待つ…ということも、できなくはないかもしれない。

 

 

ただこどもにとっては、その日に至るまでどれだけの月日を要するかはケースバイケースとしても、その年月ぶんの喪失の大きさは、大人のそれの比ではない。と思う。