「恥の多い生涯を送って来ました.自分には,人間の生活というものが,見当つかないのです」――世の中の営みの不可解さに絶えず戸惑いと恐怖を抱き,生きる能力を喪失した主人公の告白する生涯.太宰が最後の力をふりしぼった長篇『人間失格』に,絶筆『グッド・バイ』,晩年の評論『如是我聞』を併せ収める. (解説 三好行雄)
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「おれも、こんなお化けの絵がかきたいよ」
あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい
「僕も画くよ。お化けの絵を画くよ。地獄の馬を、画くよ」
と、なぜだか、ひどく声をひそめて、竹一に言ったのでした。