歩くと足の親指が痛むケースと治療方法の選択 | ひびのおと

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メモ代わりに日々のなかで気持ちが向いたことを更新 
千葉県市川市で治療院を経営しているので健康に関する内容が多いです

40代女性の患者さま。

この夏から長時間(2~3時間くらい)歩くと、右足の親指が痛くなることが主訴。

 

姿勢分析をすると、右脚は体重が爪先側で親指側にかかっていることが確認できました。

 

 

次に施術の組み立て。

 

1. そのまま患部(右足の親指)に負担が集中する姿勢を改善する

2. 患部に負担が集中する状態(姿勢)であることを自覚していただく

3. 2に加えてセルフケアの方法を提供

 

 

治療院としては1を選択して主訴を解消、定期的に御利用いただくか「痛くなったらご連絡ください」が一般的。

これは施術時間を有効に利用できるメリットがあり、私も先約の合間に急な問い合わせに短時間で対応するときに選択します。

 

2を選択するときは、患者さまに「自分の普通が左右対称ではなかった」ということを実感していただく意図のケースが多い。

人間は因果関係が気になる生き物なので、長い時間歩くと右足の親指は痛むけれど左足の親指は問題ないことを知りたい欲求があります。

 

施術前の姿勢を主訴を中心に患者さまに納得できるように説明。

施術後も姿勢変化を確認することで「姿勢と主訴の因果関係」を実感していただくことで、姿勢や身体の使い方に興味をもっていただくことを期待します。

 

3は今回の施術で選択したもの。

自分では原因不明だった「痛みの理由がわかり」、それに「自分で対応できる方法」を得られることは高い価値があると思います。

 

具体的には左右の片足立ちからスタート。

患者さま右足が親指側に重心が偏っていることを実感。

 

次にゆっくり室内を素足で歩き、左右の足で踏み切る指が異なることを感じていただきます。

結果は姿勢分析のとおり右足は親指で床を踏み切っています。

 

私が提案したのは、痛みのある右足とは逆の「左腰方形筋」のストレッチ。

 

左足を右足の外側(右側)において、左半身を伸ばすように左腕を頭上から右に向けて倒して30秒キープ。

その後に歩いてみると、右足の親指に負担がかからない状態になったことを私も患者さまも確認できました。

ここまで5分です。

 

東京の西側から来院された患者さまなので、それ以外のお悩みを確認して改めて施術方針を組み立て。

当然ですが、右足の親指に負担をかけていた姿勢に対するアプローチも含めることで全身のバランスを整えました。

 


お気づきかと思いますが、施術方針の選択は患者さまの条件をベースに判断します。


それを間違えると、私が最大の価値と考えて提供した施術方針が、患者さまにしてみると二度と通いたくない程度の施術になることもあります。


日々の日常で疲労困憊して、とにかく楽になりたくて来た治療院。


「まずあなたの今の姿勢や身体の使い方に意識を向けて、痛みとの関連を実感しましょう」


そんな一方的な押し付けをされたら、その場で帰りたくなるわけです。




私自身が20代の頃に、仕事の合間に少しでも仮眠をしたくてマッサージを受けていた経験があります。


施術家にとって最大限の価値を意識したプランが、お金を支払う側の患者さまにとっても同じ価値があるとは限りません。

 

自分が何ができるかよりも、想像力とコミュニケーションが大切です。